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  • 2013/09/24

【連載】「ブラック企業」を考えるためのマトリックス

「現代ブラック企業論」

~ブラック企業はなぜ生まれ、なぜ生きながらえるのか?~

(2)<ブラック企業を考えるマトリックス>

「ブラック企業問題を追えば追うほど、よく分からなくなってきます…」

とは、以前私を取材してくれた某国営放送の記者氏のつぶやきだ。その言葉通り、長年ブラック企業問題を手掛けている私も、ブラック企業を扱うのは一筋縄ではいかないと感じている。ブラックの対義語を合法的・健全に運営している「ホワイト」とするなら、同じ企業であっても、当事者によって捉えかたは少なくとも4種類に分かれる。

「世間の印象=ブラック、実際=ブラック」(世間の印象も、実際も悪質)
「世間の印象=ホワイト、実際=ブラック」(世間の印象は良いが、実際は悪質)
「世間の印象=ブラック、実際=ホワイト」(世間の印象は悪いが、実際は健全)
「世間の印象=ホワイト、実際=ホワイト」(世間の印象も、実際も健全)

さらに、「誰から見るか?」という視点を加えると、評価は更に複雑に変化する。具体的には、アルバイト、契約社員、派遣社員、正規平社員、正規役職社員、経営者、株主、顧客、社会…などだ。 

あまり細分化しても却ってわかりにくいので、「組織や事業は健全か?」を横軸に、「待遇は良いか?」を縦軸にとって表にしてみよう。大まかだが、次のように表される。

 

このように、一言で「ブラック企業」といっても、このうち「グレー」と「ブラック」計6つの象限いずれかに当てはまり得るものであり、何について議論しているのか、目線合わせができていないと錯綜することになる。

以下で、それぞれの象限の特徴を簡潔に述べておきたい。

W1 ホワイト優良企業

おもにエスタブリッシュな大企業が当てはまる。中でも、「成熟産業で」「独自技術によって」「安定したシェアを持ち」「倒産しにくい」といった基盤があれば、それほど残業をせずとも、じっくり働ける環境である可能性が高く、入社希望者からは人気となる。

W2 健全運営の中小企業、公務員など

大手ほどの待遇や福利厚生などはないが、同様にそれほど激務ではなく、安定した雇用や給与が得られる期待ができるところ。堅実経営の中堅企業や地方公務員などが当てはまる。

W3 ホワイト企業勤務の派遣/アルバイト

これは「企業」というより「雇用形態」になってしまうが、給与は安くとも、ブランドのある職場で働けることが魅力と捉えられる。非正規であれば、比較的職務も単純作業となり、責任も軽めであることが多い。そのようなプレッシャーが弱めの労働環境は、一部若者の間で「マッタリ働ける」と表現され歓迎される。

G1 外資や上場ベンチャーなど実力主義の会社

激務で相応のプレッシャーもあるが、高待遇である、組織が成長していてやりがいがある、などの理由から、リスクを認識した腕に自信のある人の間で歓迎される環境。外資系金融、外資系コンサルティング、上場ベンチャー企業の他、日系大手でも商社や広告代理店などはこの領域に入る。

G2 日本の一般企業(中堅企業)

G3 日本の一般企業(小規模・零細企業)

日本の多くの会社は、このいずれかの領域に入る。事業自体に違法性はないが、サービス残業など「厳密には労基法違反な労働環境」が温存されている会社。

過重労働気味だが、日本の労働政策の方針として「安定した雇用と給与」を確保することが優先されているため、必然的に労働環境面が劣後順位になっている。

B1 反社会勢力、故意に違法な会社

違法性を認識しながら高収益を得ることを最優先している会社。典型的な例としては暴力団のフロント企業など、反社会的な存在をイメージ頂けるとよい。

しかし中には、一般的にホワイトと認識されている企業の中にも違法性の高い仕事をしている部署や担当があり、たまにニュースになる。(私の「ブラック企業アナリスト」としての役割は、後者に関して内部からの情報を得た告発である)

B2 追い詰められて違法にならざるを得ない会社

反社会勢力ほどひどくはないものの、「顧客を騙す」「違法な営業手法」「脱税」など、事業運営に反社会性のある企業。もともとはホワイトやグレー領域の会社だったが、業績悪化などを機に、筋の悪い事業に手を出すとここに入ることになる。確信犯的な悪意というよりも、追い詰められて陥るタイプといえる。

B3 底辺ブラック企業

故意に違法行為をおこない、顧客には迷惑をかけ、社員を使い捨て、経営者の私利私欲が優先される会社。零細規模の企業が多く、ニュースになることはほぼないが、多くの問題が起こっている。

マスメディアで「ブラック企業」に関する報道を目にしない日はないくらいだが、実際それはどの象限で起きていることで、そこでは何が問題とされているのか、見極める眼を持っておきたい。中にはまったく本質的ではない議論や、ブラックとは言えないような内容のものもある。

次回以降は、皆さんにそんな「ブラック企業リテラシー」とでもいえる観点をお伝えしていこう。 

コラムニスト紹介

新田 龍(NITTA, Ryo) @nittaryo
株式会社ヴィベアータ、代表取締役
ブラック企業アナリスト
Blog ドラゴンの抽斗 ブラック企業アナリスト新田龍が語る「はたらく」「しごと」「よのなか」

その他のt-news Webに掲載している新田龍さんの記事を見るにはコチラ

コラムニスト紹介

「ブラック企業のダメ社員」から身を立て、現在はコンサルティング会社経営。平社員、リーダー、マネジャー、事業部長、役員、経営者と組織のすべての階層を経験し、これまで2万人以上の面接・面談経験を持つ。

「ブラック企業の専門家」として、TVやメディアでのコメンテーター、講演、執筆を展開。また大学、高校、行政、企業を対象としたキャリア教育や就活支援、研修など、「人」と「仕事」にまつわる領域で活動中。

コラムニストの紹介を更に詳しく見る 

主な著書

ブラック企業を見抜く30のポイント(電子書籍)
「人生を無駄にしない会社の選び方」
「たった1分で『信頼できる人』になる!自己紹介の鉄則」

著者のその他の著書を更に詳しく見る

著者:新田龍

「ブラック企業のダメ社員」から身を立て、現在はコンサルティング会社経営。平社員、リーダー、マネジャー、事業部長、役員、経営者と組織のすべての階層を経験し、これまで2万人以上の面接・面談経験を持つ。

「ブラック企業の専門家」として、TVやメディアでのコメンテーター、講演、執筆を展開。また大学、高校、行政、企業を対象としたキャリア教育や就活支援、研修など、「人」と「仕事」にまつわる領域で活動中。

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