• キャリア
  • 0
  • 1706views
  • 2014/06/20

【連載】あのエレキテルの人の、エレキテル以外の物語- 平賀源内 -part2

はじめに

  • どこにこんな引き出しが?と毎回思う林田さんの今回のコラムは、皆さんも受験勉強の際に日本の歴史で習ったであろう平賀源内を中心に日本の歴史を紐解いていきます。平賀源内を中心に、「蘭学事始」を著した杉田玄白と「解体新書」を著した前野良沢などを引き合いに出し、歴史のつながりと人のつながりの密接な関わりについて描いている物語のpart2。今回は平賀源内の知られざる才能についてのお話です。少し長いですが興味深いものとなっているので、読んでみてはいかがでしょうか!?
  • (t-news編集部)

前回記事をまだ読んでいない方はコチラもチェック!!

⇒ 【連載】あのエレキテルの人の、エレキテル以外の物語- 平賀源内 Part1

ウナギが最も食べられる日といえば…

「もうすぐ、ウナギの季節がやってくる、、、」

と土用の丑の日がウナギの旬と勘違いしている方も多いのですが、年間を通して、最もウナギが不味い時期に、ウナギを食わせるように仕向けたのが、誰あろう、平賀 源内さんなのであります。初夏のウナギなんて、産卵を終えて脂が抜け切っており、美味いはずがないんですね。江戸中期にあったウナギ屋さんも、もつ鍋屋さんや、水炊き屋さんと同様、繁忙期は冬場であり、夏場になると商売上がったりで、苦しんでいたわけです。そこで、平賀 源内がコンサルタントしたわけですね。

「ほかには何も書かなくて良い。ただ、店先に『本日、土用の丑』とだけ書いて貼っときねぃ」

と。「土用」というのは、土曜日のことではございませんで、陰陽五行説に基づくものです。すべてのものは水から始まり、水が木を育てます。木は火によって燃えますね。燃えたあとは灰(土)になる。土の中から金が生まれ、それも、やがて水に帰る。

「木、火、土、金、水」 

の五つで世の中が構成されている、という考え方が、五行説です。水星人とか、土星人とか、正月になると皆さんが気にしているのも、これです。ちなみに、この五行を兄と弟に分けて、「木の兄(きのえ)、木の弟(きのと)、火の兄(ひのえ)、火の弟(ひのと)、土の兄(つちのえ)、土の弟(つちのと)、金の兄(かのえ)、金の弟(かのと)、水の兄(みずのえ)、水の弟(みずのと)」と十に別れます。 

これを十干(じゅっかん)と呼び、それぞれ、 

「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」

と書きます。これに、子、丑、寅、卯、、、の十二支を併せて「干支(えと)」と呼んでいるわけです。 十干と十二支、10と12の最小公倍数は60ですから、60年で一回りする。これを還暦(かんれき)と呼びます。赤いチャンチャンコを着る歳ですね。いきなり話が逸れていますが、日本や中国の歴史は、事件名で年が分かるようになっています。例えば、「壬申の乱」は、ミズノエ・サルの年に起きた事件だということを物語っているし、「辛亥革命」は、カノト・イノシシの年に起きた事象です。

 太陰暦は360日 太陽暦は365日 どうする!?

ちなみに、太陰暦(月齢で暦を作る)では、一年は360日です。毎月、きっちり30日なわけです。われわれが、現在、使用している太陽暦は、一年が365日ですので、一年間に5日間、誤差が生まれますね。つまり6年をかけて1か月ずれる。したがって、昔は「閏月」というのがありました。よく古典に出て来る「閏2月」とか出て来るのは、一年の中で2月が2回あるんですね。それで、

 「何月を閏月にすればいいのか?」

と悩む人たちがいた。これを、ちゃんと出来ないと、季節がずれて農作業に支障を来しますから、もう真剣です。この人たちのことを天文方、と呼んでいました。別に、星をずっと眺めてる人たちじゃないんですね。高等数学を用いて、暦を決めていた人たちです。

とにかく、江戸期までは、日本の暦上、一年間は360日でした。これを五行で割って、木、火、土、金、水の時期が72日間ずつある。この72日間のうち、土の時期を「土用」と呼びます。

さらに、一日ずつ十二支が当てはめられています。つまり、1月1日のお正月を子として、十二支が30回転すると一年経つ訳ですけれども(美しいですね)、土用の期間の丑にあたる日を「土用の丑」と呼ぶわけです。だから72日間のうちに丑が2回ある年もある。

 「今年は、土用の丑が2日間ある!」

 とか言ってるのは、これが理由ですね。72日の中に丑は6回あるはずなんですが、なぜ、最多でも2日しかないのかというと、それは土用だけが4分割してやって来るからなのですが、だんだん、もはや既に、話が平賀源内ではなく、安倍晴明の域に達して来たので、この辺で止めておきます。 

 

土用の丑、カロナール…天才的なコピーライト!

とにかく、なぜか、平賀源内は「土用の丑」に目を付けた。そして、ウナギ屋の前で、「本日、土用の丑!」と書かれた看板を見た人は、不思議に思ったわけです。

「おい、オヤジ。今日は、確かに土用の丑だけど、何かあるのか?」
「へい。本日、土用の丑の日でございます。ウナギをどうぞ。」
「おう、そうか。今日は、土用の丑か。いっちょ、ウナギを食うか!」

と江戸っ子の心を鷲掴み、「土用の丑にウナギを食すると良い事がある」というのは、顧客側の勝手な思い込みだったわけです。見事なコピーライト。今で言うと、佐藤 可士和みたいな役回りだったんですね。何がすごいかって、240年を経て、いまなお、源内さんの策略にハマって、土用の丑にウナギを食べ続けている我々がいる、ということです。

おかげさまで、日本ウナギは絶滅危惧種に指定されたそうな。

いや、美味しいんだけれども。

他にも、平賀源内がプロデュースした商品はあります。ある和菓子屋で売り出された饅頭の商品名、その名も、「オストアンデル」。これもヒット商品になったそうです。みんなオランダ語かと思って、面白がって買ったんですね。けれど、これは平賀源内が創った、「外来語っぽい日本語商品」です。押すと、餡でる。

シャレが効いとんしゃぁ(博多弁)。

今でも、小児向けの名薬に「カロナール」ってのがありますが、これも、その系譜と言っていいでしょう。カロナールが、その成分である「アセトアミノフェン」という名前だったら、きっと、みんな購入しないんだと思います。これを飲むと、症状がカロナール。

いや、親父ギャグではなく。本当に。大事です、キャッチコピー。

他にも、竹とんぼも平賀源内の発明と言われています(異説あり)。まだプロペラが発明されていない時代です。他にも、オルゴール、懐中電灯、方位磁針など、源内の発明とされるものは多く、この時代に特許という発想があったら、どれだけ大金持ちになったのだろうか。

 

何でも出来てしまう本当の天才!?

その才能は、文学の世界にも波及します。

歌舞伎の世界では、福内 鬼外(ふくうち きがい)というペンネームで、「神霊矢口渡」という脚本を書きますが、これが空前の大ヒット。風来山人(ふうらいさんじん)の名前で書いた小説、「根南志草」もベストセラーになります。

画家としては有名ではありませんが、日本画の世界に、西洋絵画の技術である「遠近法」を取り入れたのも、源内が最初です。ンもう、すごいったらありゃしない。

経営コンサルから、コピーライト、小説家から、売れっ子脚本家、果ては発明まで、多彩な才能を発揮し、しかも、どれも当たっているわけですから、お金には困らないはずなんです。けれど、平賀源内は、同時に、山師でもあったんですね。山師というと、丁か半か、切った張ったの博徒のように聞こえますが、源内は鉱山学もやっていたんです。

まさに、アルケミスト。金を探していたんです。
ちなみに川越藩にある秩父大滝村で、

「ここ、絶対に金が出るから掘ってみろって!」

と源内が指摘した山があるんですが、川越藩は小藩ですから、下手に金なんか出たら、幕府に領地没収されちゃうから、いらんこと言うなっ、という態度を取り続けた。何と言いますか、今でも、よくある話のような気がしますが、山師としての調査に金を使いすぎて、あまり豊かな生活は送っていなかったようです。

ちなみに、この秩父大滝村の山は、158年後、昭和12年になって、

「平賀源内が言ってたなら、試しに掘ってみよう」

となりまして、掘ってみたところ、金は出て来ませんでしたが、銀が採掘され、月産2万tの生産量を誇ったのであります。

本稿では、駆け足で、平賀源内の才能の一端をご紹介して来たわけですけれども(一部、陰陽道の話でしたが)、こんな多彩な才能の持ち主である源内だからこそ、各分野から、多士済々が、彼のもとへと集まって来ます。やがて、源内がこの時代における人材のハブとなって、ここに参集した逸材たちが、歴史を悲しくも、美しく紡いでいくことになります。

今日はここまで!
続きは、次回をお楽しみに!!

今回のコラムはどうでしたか?当コラム・コラムニスト林田さんへのご意見・ご感想お願いします!


https://business.form-mailer.jp/fms/41e1228e23855

 

コラムニスト紹介

林田暢明 HAYASHIDA, Nobuaki
TAO CAFE 代表
特定非営利活動法人エンジョイコミュニケーションズ 理事
総務省 地域資源・事業化支援アドバイザー
1977年11月4日生、35歳、既婚。福岡県出身。

【リンク】
TAO CAFE
特定非営利活動法人エンジョイコミュニケーションズ

コラムニストの紹介を更に詳しく見る

t-newsに掲載している林田暢明さんの記事を見るにはコチラ

著者:林田暢明

特定非営利活動法人エンジョイコミュニケーションズ 理事
総務省 地域資源・事業化支援アドバイザー

会員限定記事

キャリア

2017/10/31

就活準備をはじめる3年生・修士1年生へ!リクナビ2019に会...

こんにちは!t-news編集局です。もうすぐ冬休みですね。学業がひと段落すると、就活準備に本腰を入れる頃かもしれません。この記事を読んでいるあなたは、もうインターンシップに参加...

 

会員限定記事をもっと見る

てぃーすけ案内