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  • 2013/09/26

【連載】誰も悪くないのに「勉強しない大学生」が生み出されるメカニズム

なぜ、面接を変えるのか?

そして現在、私は大学成績を面接で活用されるように企業・社会に対して働きかけています。

では、なぜ私がこのような問題意識を抱いたのか。

なぜ従来の面接スタイルを変えようとしているのか。

それは、「負のスパイラル」を是正するためです。

公益財団法人「東京大学新聞社」が東京大学の全新入生を対象に行ったアンケートによると、新入生の6割が、就職活動に不安を感じていることが 分かった―と毎日新聞で報じられました。難関大学に在籍する大学生でも、就職活動を安泰としていない現状が伺えます。

よくある就活時の先輩と後輩とのやり取りの一コマ

就職活動に不安を感じる大学生は、サークルの先輩に

「どうすれば就職活動うまくいくか」

とすがります。すると先輩は、就職活動で希望の企業から内定を得るためには

「勉強より課外活動が大事」

という話を教えてくれます。

「就活で成績って見られないらしいよ。ほとんどC評価の先輩が大企業に内定をもらった」

「勉強するより課外活動で変わったことやった方が受かりやすい」

「○○先生は、簡単に単位くれるからとっておくほうがいいよ」

というように。

ある大学の学生によると、先輩に

「どんな授業をとったらいいですか?」

聞くと、

「楽に単位がとれる授業がいいよ。あとは課外活動やったほうが就活に有利だよ」

という答えが返ってきたそうです。

事実、ある有名大学では、楽に単位がとれることで有名な授業に、毎年定員の5倍もの受講希望者がいるそうです。

  • このように大学生は、楽に単位をくれる授業を選択して、できるだけ課外活動に力を入れるようになります。学生にとっては、授業よりも課外活動に力を入れている方が楽しいし、就職活動を考えるとその方が有利になります。

大学の先生が”いい”講義をしても、先生も学生も報われない

そうなれば、大学の先生の考え方も変わってきます。

学生の教育や育成に力を入れようとすると、必然的に事前の課題も出すでしょうし、授業中には学生を指名して質問もするでしょう。また宿題やレポート等を出す必要もあります。それに定期試験も、きっちりした厳正なものになるはずです。中学や高校の授業は一般的にそういうものです。

しかし、大学では学生が自分で授業を選択するので、このような先生の授業を学生は選択しない傾向があります。

このような先生は「厳しい先生」「面倒な授業」などと言われ、選択する学生が減ります。一方で、教育に力を入れれば入れるほど、自分の研究に使える時間が減ります。自分が頑張れば頑張るほど、学生も研究時間も減るのです。

しかし、毎年同じ講義を一方的に話し、課題も出さず、ある程度出席さえしていれば単位を自動的に出す先生は、自分の授業をとる学生も多く、適当に教育をしているだけなので研究にかけることのできる時間も多いのです。

  • これはビジネスマンでいえば、仕事に力をいれたら、顧客からは逆に評価は下がってしまい顧客は離れていくようなものです。

今の大学の授業風景を学生に聞いてみると、授業をまともに聞いているのは前の一列に座っている学生だけだそうです。残りの学生はほとんどがスマートフォンをいじっているか、机に突っ伏して寝ているみたいです。中には先生の声が聞こえないほど、私語の多い授業もあるそうです。それでも先生は何事もないように授業をすすめています。

また試験では、普段は教室内にまばらに人がいる程度なのに、試験のヒントがもらえる可能性の高い最後の授業と当日の試験の時だけ、人が入りきらないほどの学生が出席するようです。

試験の内容も、毎年同じテストをし、テストは記述の中に一定の語句があれば合格という先生もいます。そういう先生の試験は毎年過去問と答えが出回っていて、それを覚えれば誰でもいい成績がとれる状態だったりします。

「ねえねえ、あの授業のノート見せて!ごはんおごるから」

「先輩、○○論の去年の過去問もっていませんか?」

というやりとりが頻繁にされているのが現状です。

この結果、学生はますます勉強しなくなります。

「いい成績なんて何の意味もないです。学校の授業もつまらないし、毎授業寝て、テスト前になったらとりあえず友達のノートをコピーして暗記することの繰り返しです」

と、都内の有名大学に通うある学生は言います。

企業が学生の成績を採用しないスパイラルが完成する

大学はこんな状態ですから、もちろん企業は学生の成績を採用の参考にすることができません。成績を参考にできないので、面接や自社の実施するテスト等で合否を判断する必要があります。

  • そうなると、企業にとってはいつから選考を始めても同じであり、いい人材を採用するために早期から学生と接触するようになります。

また面接で判断する比重が大きいので、詳しい話、具体的な話を学生に聞くようになります。そうなれば学生はさらに勉強しなくなり、課外活動によって面接に対応できるエピソードを作ることに力を入れるようになります。

 [次頁] 負のスパイラルの元凶とは?

著者:辻太一朗

1959年生まれ。京都大学工学部卒業。
(株)リクルートで全国採用責任者として活躍後、99年(株)アイジャストを創業。2006年(株)リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。
採用コンサルタントとして延べ数百社の企業を担当。数多くの大学で講演、面接トレーニングの実績ももつ。

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