はじめに
大学生の多くが経験したことのある、居酒屋でのバイト。あなたの周りでもいま現在、居酒屋で働いている人はいるのではないでしょうか?そんな大学生の一般的なアルバイト「居酒屋バイト」があなたの心構えひとつで、就活に有利にさせられることをご存知でしょうか?ほかのアルバイトをしている人たちに、就活で一気に差を付けられる「居酒屋バイト」の魅力をご紹介いたします。
一流企業が求める"大学生に必要な能力"とは?
みなさんは、企業側が求める"大学生に必要な能力"をご存知ですか?
実は学生が「社会に出て活躍するために必要だと考える能力要素」として、経済産業省がデータを公表しています。それによると、
- 1位:コミュニケーション力
- 2位:人柄
- 3位:主体性
- 4位:一般常識
- (参考:平成22年度経済産業省「大学生の社会人観の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査」)
居酒屋バイトが就職に有利になる4つの理由
1.様々なお客さんとの対話が「コミュニケーション能力」を飛躍させる!
居酒屋バイトでは、たくさんお客さんに対する接客が仕事の中心となります。お客さんは若い20代の方から70代の方までご利用されているでしょう。接客では、それらの人らそれぞれに応じた話し方・態度をしなければなりません。また、酔っぱらったお客さんの接客は大変であっても興味深い人間観察ができるという話もあります。
暇な深夜の時間帯などでは、掃除をしながら会話を立ち聞きしていると意外に面白い話題をしていたり、友人同士に見えるグループ内に意外な人間模様があることがわかってきたりします。居酒屋よりも一歩進んだ商売に、クラブやバーなどのウォータービジネスがありますが、そういったところで働く人たちの多くは、非常に選人眼に優れていると言われます。それはきっと酔った状態であるという本音が出やすい状況に長くいることで、人の気持ちが見えやすくなっているためとも考えられます。(参照:居酒屋バイトは何で選ぶ?)
酔っ払った方々などの接客もしなければならない居酒屋バイトでは、他のバイトに比べても高いコミュニケーション能力を必要とします。また居酒屋の店内は話をするお客さんの声が飛び交い、自分の声はなかなかうまく伝わらないことも多いでしょう。このような厳しい環境では、相手に伝わりやすい大きくはっきりとした声を自然に身につけられることは間違いないです。
2.店の顔となる接客業務はよい「人柄」が必須条件!
接客業務がメインの居酒屋バイト。お客さんの店に対する印象を決める中での"店員のイメージ"という要素はとても大きく、店員は店の顔と言っても過言ではないくらいです。
まずヒトは、顔に対して特別な反応をするという。人間の脳は顔を認識する「顔ニューロン」という神経回路があり、顔のようなものが目に入ると敏感に反応する。店内に入ったお客は、店へのワクワク感や、期待が裏切られないだろうかという一抹の不安感から、とりわけ入店時は、お客にとっても緊張感が高まる瞬間となる。そのとき、お客の目は顔ニューロンの働きで店員の顔に注がれる。そこに笑顔があれば、瞬時のうちに「危険の解除」「安心・安全」のメッセージとして受け取り、相手(店員)との間に好ましいコンタクトが生まれることになる。
(参照:笑顔が顧客満足を高める理由(ワケ) (一部省略))
このようにお客さんに好印象を得てもらうためにはまず「笑顔」でいることが大切です。しかし、店のルールを守らないようなお客さんを相手にした時には相手に悪い印象を与えることなく厳しく「NO」を言わなければならないこともあるはずです。そのため明るく親しみやすい振る舞い方だけでなく、さらに自分の意思をはっきりと主張する力も身につけられるでしょう。これらの居酒屋バイトで鍛えられるスキルは就活の面接の時にも活かせる能力かもしれません。
3.お客さんの動きを読む思考作業が「主体性」を鍛える!
「ホールの仕事は気配り、目配り、心配りに加え、記憶力も必要とされるので、ここで記憶力が養われた気がします。注文以外にもどの席からどんなものを頼まれたのかを把握し、クレームを防ぐためにも配膳の順番や、タイミングにも気を配ることが必要です。ですから、私なりに自分が外食する時に、気持ちよく食事が出来る環境を心がけた接客をしていました。このことは、現在の職場でも来客時の対応や、接待時にとても役に立っています。」
(参照: 居酒屋アルバイトの体験談と上手な探し方)
このように、居酒屋の仕事はお客さんから注文を聞いたり品物を運んだり多くの業務に追われ、常に次の行動がやってくる時間との戦いです。しかしそうしている中で、多くの居酒屋店員は「お客さんの次の動きを読めれば、すぐに動くことができるようになり時間を短縮できるのではないか」と考えるそうです。居酒屋の店員さんはお客さんの姿勢・態度・会話・目の動きなどからお客さんの動きを察知して、次の行動を準備して仕事を行っています。このような相手の動きに対して受動的に行動するのではなく、先を見据えて自分から行動することによって主体性が自然に鍛えられていくのでしょう。
4.居酒屋が育てる「一般常識力」!
あなたが居酒屋に行きその店から出るときに居酒屋の店員さんたちが皆揃って大声で「ありがとうございました!」というのを見聞きした覚えはないですか?印象を大事にする居酒屋の店員は挨拶やマナーを意識する機会に恵まれています。
「居酒屋バイトが一番勉強になりました。どこが勉強になったかというと接客をすることで常に周囲に気を配れるところです。注文をスムーズにするために声を出して伝え間違いのないように人の話を聞くことやお客様へのマナーや人としての礼儀作法を覚えられます。これらは居酒屋のガヤガヤした雰囲気の中でそれを忠実にこなすのは意外と神経を使うものです。実際に社会に出て働いている人を見ることで何が必要なのか、こういうときはどういう風にするのかなどを実際に自分の目で見ることが出来ます。社会人として働く前に当たり前のことを改めて勉強しなおせて基本的な礼儀を身につけられたと思っています。 」
(参照: 居酒屋バイトのいいところ | アルバイト珍しい話(一部省略))
挨拶やマナーをしっかりと研修などにより指導を受け、実践していくうちに自然と社会人としての一般常識力を養っていくことができます。
最後に
このように何気ないアルバイトの中でも社会で必要とされる力を養う機会はたくさんあるものです。ただ単純作業の繰り返しと思う人と、自分の能力をあげようと気構える人とではその時間の濃度は何倍も変わってきます。その中でも「居酒屋バイト」は社会で求められる力を養う多くの機会に恵まれているので、ぜひ一度経験してみてはいかがでしょうか。

2014年11月からt-newsWebライターとして活動中。東京大学に在学中であり、大学では哲学について学んでいます。哲学と現代社会の繋がりを考え、その接点として道徳教育に関心があります。t-news以外の場でも執筆を行っており、現在はエピニオ(http://epinio.jp/)というメディアで教育について論じています。t-newsでは読者さんにとっての「働く」と「学ぶ」の重なりを増大させることを期待した記事を書いています。