• バイトあれこれ
  • 2015/04/22

「明日は暑い日だから、冷麺が売れそうだ!」コンビニバイトに隠された奥が深い話

はじめに

みなさんはコンビニでのアルバイトをどう捉えていますか。中には単純作業だ、頭を使わない、成長機会がない。ただ単にお金を稼ぐためのアルバイトだと考えている方もいらっしゃるでしょう。でも実は、コンビニのアルバイトでも仮説を立てて実践し、検証するというプロセスを体得しながら、利益を大きく左右しかねない大切な仕事に参加することができるのです。ここでは、そんな業界最大手として名高いセブンイレブン流の仕事術と、そこで仮説を立てる力がどう養うことができるかを紹介します。

セブンイレブンの仕事術とは!?

発注分担ってどんな仕事?

セブンイレブンには発注分担と呼ばれる業務があります。多くのコンビニでは商品の発注はある程度各店舗の裁量に委ねられていますが、セブンイレブンでは24時間営業する中で全ての商品それぞれの発注量を決める単品管理という方針をとっています。この単品管理では、一品一品丁寧にその商品の性質や売れ行きに応じたきめ細やかな発注をするために、発注業務は自動化していません。さらには、正社員だけでなくパートやアルバイトもこの「発注分担」を担当するのです。


(画像参照:flickr)

セブンイレブン流仮説・検証法

発注分担という制度があるので、アルバイトやパートでも天気予報や地域のイベント、曜日、顧客層といった情報から商品に関する売れ行きの仮説を立て、その仮説に基づいて発注の仕方を変えPOSシステムで結果を検証するということができます。だから、経験の少ない大学生でもセブンイレブン流の仮説・検証法を通して自分の考えや意見を経営に反映するクリエイティブな仕事に携わることができます。

POSシステムとは販売情報管理システムのことで、 商品の販売情報を記録して集計して管理する仕組み。

セブンイレブンで学べる仮説力とは!?

「どうして?」から始める仮説の立て方

さて、それではどうやって仮説を立てればよいのでしょうか。例えばある夏の日、日によって売れ筋の商品が冷麺やスパゲティ、うどんの間で変動したという事実があるとします。この時、この事実に特に疑問を抱かなければ、発注はいつもと同じ量になってしまうでしょう。しかしこれに対して「どうして?」と思うことができれば、そこから仮説・検証法がスタートするのです。なぜ日によって麺類の売れ筋が変わるのでしょうか。ここで気温のデータと組み合わせて比較したとき、暑い日は冷麺が、涼しい日はスパゲティが人気だという推測ができたとすれば、もう仮説は目の前にできています。

  • 「明日は暑い日だから、冷麺が売れそうだ」
  • 「明日は涼しい日だから、スパゲティが売れそうだ」

パスタの参考画像

また、t-news編集部で働く元セブンイレブンバイト経験者はこう語ります。

「たとえばサンドイッチならば、女性が好みやすいサラダ系やスイーツ系のサンドイッチを棚の中央に配置し、カツサンドなど男性が好みやすい商品はそれらの上の棚に配置し、目線に合わせて陳列するように店長に言われていました。また、店に入ってすぐレジの方へ視線を向けてくる人は煙草を買う人なんだなと思い、煙草を出す準備をするようになりました。」
(t-news編集部在籍/早稲田大学Nさん) 

このように、サンドイッチやお客さんの目線などから行うバイトの工夫も仮説力に支えられているといえるでしょう。

「それは正解か?」POSで検証

実際にその仮説に基づいて発注したとすれば、売上の結果はすぐにPOSシステムを用いることで明らかになります。具体的な数値としてその日の売上がわかるので、自らの仮説の成否を定量的に判断することができます。このように結果がすぐに出るからこそ、発注の仕方だけでなく発注した商品をいかに売るかということにも気を配るようにもなるでしょう。例えば陳列を変えたり、POPや広告などでその商品が目立つようにすることで、売上を伸ばせるかもしれない。そういった創意工夫も学ぶことができるかもしれませんね。

「なぜなのか?」から生まれる仮説力

仮説を作る時は、自分自身に「なぜなのか?」という疑問に対する飽くなき探求心を持つことが大切です。何気無い普段の出来事であってもそこには何らかの因果関係が含まれている可能性があり、興味のアンテナを高く立てておくことで仮説力を養うことができます。 もちろん仮説は立てるだけでは不十分で、その実現可能性を自分で評価してみることも大切です。セブンイレブンの創立者である鈴木敏文は、7割の実現可能性があれば挑戦すべきだと述べています。失敗を気にせずに果敢に実践することもまた、仮説力を発揮するための一つの要素たり得るでしょう。

応用出来る!仮説作り

この仮説作りのプロセスはコンビニのアルバイトのみならず、身近な様々な場面に応用できます。例えば、個別指導のアルバイトでもあり得るでしょう。私は、教えている生徒がなんとなく集中力を欠いているとき、今まで生徒を教えた経験からその生徒がどのような話をすることでやる気を引き出すことができるのではないかということについて仮説を立てました。

「その生徒は国立大学受験を目指しているから、同じ大学を受けた先輩の成功談を話せば、モチベーションを高められるだろう」

指導風景のイメージ

この仮説に則って生徒を励ましたところ、やる気を出して勉強してくれるようになったという結果を得ることができました。このことも立派な仮説・検証術の1つと言えるでしょう。仮説を立てることで、結果が出た時に逆にその因果関係を推測することができるので、うまくいかなかった時でも次に活かせるという点で効果的であると考えられますね。

まとめ

セブンイレブン流の仮説・検証法の紹介はいかがでしたでしょうか。セブンイレブンには単品管理とPOSシステムという仕組みがあるので、アルバイト経験の少ない大学生でも何気無い疑問から仮説を立て、自分で試行錯誤しながら成果を得ることができ、それが売り上げにつながるという体験をすることができます。この仮説・検証法を大学生の間に身につけておけば、実社会に出た際に同様の事例に遭遇したときに生かせるはずです。だからこそコンビニのアルバイトは単なる作業に留まらず、そういった自分の肥やしとなる経験を積むこともできるアルバイトだといえるでしょう。

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新島

著者:新島

t-newsWebライターを2015年3月から始めました。
現在は都内の大学で3年生をやっています。理系の視点から『働く』ということに着目した記事を発信していきたいと思います。趣味は読書と映画鑑賞。座右の銘は「なせばなる」です。昨日の自分よりも少しでも進化した今日の自分でありたいと思っています。よろしくお願いします。