• バイトあれこれ
  • 2013/02/03

海辺で”梅おにぎり”が売れるのは何故常識なの?セブンイレブン型「全員参加経営」の5段階とは

セブンイレブンのアルバイトは”ココ”が違う!

アルバイトと聞くとみなさんは何を思い浮かべますか?人によっては、「出来る限り楽に仕事をして、給料もらえれば」なんて考えたことがある人もいるのではないでしょうか。しかしそんな中で、アルバイトでも自分の考えを売上に反映させたり、売上を伸ばしたとしたらどうでしょう。

今回はアルバイトを主な戦力にしているセブンイレブンで実際に実施されている、例えアルバイトでも能力を最大限発揮せざるを得ない”全員参加経営”を紹介していきます。では、この全員参加型経営とはどのようなものなのでしょうか?

全員参加の「発注分担」

”こうなるかもしれない”で商品を注文!


(画像:kagen33

セブンイレブンでは各商品ごとに発注を担当する「発注分担」と言う業務があります。発注分担の担当者は一度仮説を立てて商品を発注することになります。例えば”デザート”担当であった場合は「今日は平日だから学生やサラリーマンが多く来店するだろう、だからお年寄りなどが購入しやすい和菓子より比較的若い人の好む洋菓子を多く発注しておこう!」と仮説を立てた上で発注する商品数を決めます。

「発注分担」はセブンイレブンの全員参加経営の中心軸となっています!

余ったら”廃棄”になりかねない!

この発注分担作業、もし自分の仮説が外れて「学生やサラリーマンが実は和菓子をたくさん買っていってしまった!」なんてことになれば和菓子は欠品して、多く注文した洋菓子は余って廃棄…なんてことにも繋がってしまうのです。そんな店の損益に関わるような業務を学生アルバイトにも任せるのが”セブンイレブン”なのです。では店の損益に大きく関わってくる”仮説”どのように立てれば良いのでしょうか?

情報は確かに大切な情報ですが、それに左右されすぎてもいけないようです!

仮説の立て方

先行情報を鵜呑みにするな!

例えば、現在コンビニでは1個200円のおにぎりって種類も豊富にありますよね?セブンイレブンが俗に”高級おにぎり”と言われる1個200円のおにぎりを販売する前、アンケートをとった結果、ほとんどの人が「そんなの買わない」と答えたそうです。しかし販売が開始された現在では客は「こんなものが欲しかった」と高級おにぎりを購入していくそうです。このように、実際に得られた情報とは異なる結果が表れることもあるのです。

「海辺のコンビニはウメおにぎりが売れる」という仮説

確かに情報を鵜呑みにしすぎることはよくありませんが、情報もとらない単なる勝手な予測や思い付きであってもそれは困るのです。商品の発注は”売れると思う”から発注する、というのが原則です。データだけでは明日の客の行動は分かりません。そのため発注には明日の顧客にメッセージを発信し、ストーリーを描けるかにかかっているかと言います。

(画像:Miguel Librero

例えばこんなメッセージを込めてストーリーを立ててみる

ここは釣りシーズン真っ盛りの海辺のコンビニ。明日は週末で早朝から多くの釣り客がお昼を買おうとコンビニに立ち寄るでしょう。また気温もかなり上がりそうとの予報です。

そこで立てた仮説とは…?
・釣りをしながらでも気軽に食べられるもの 
・食べ物を買う早朝からお昼まで結構時間がある
・かなり気温も上がるそうだから傷みにくいものが良い
⇒従って、釣り客の心理から傷みにくいイメージのある”梅のおにぎり”を求めるはず!
このようなストーリー仕立ての仮説を立て、普段より多めに”梅おにぎり”を仕入れておく。そしてそこにメッセージとして釣り客に勧めるPOP広告もアピールとして用意した。その結果”梅おにぎり”は圧倒的な人気を見せたそうです。

つまり”仮説物語”作りの流れはこのように出来ている!
1.天気等の「先行情報」
2.釣り客の心理はどのようなものかという「問題意識」
3.傷みにくいイメージのある”梅おにぎり”が売れるという「仮説」 
4.”梅おにぎり”を多めに発注するという「実行」
5.結果的に売り上げが上がったのか「検証」 

”仮説”は社員の仕事ではない!

このようにセブンイレブンではアルバイトも仮説を立て、その結果どうなったのかを検証する所まで自分自身の責任で行っています。つまりアルバイトでも店舗の経営を左右することにもなり、必然的に責任を持って業務に取り組まないとならなくなるのです。アルバイトだからといって何も学べない訳ではなく、”全員参加経営”の名前通り、経営に参加することが出来ているのです。

アルバイトだからといって”ただ与えられた仕事をする人”と”自分なりの工夫や考えをもって仕事をこなす人”では大きな差が生まれてしまいます。もう1度自分のアルバイトへの取り組み方を振り返り、工夫をアルバイトで他の人と差をつけてみませんか?その結果はきっと、お客様からの何気ない一言や売上などにも出てくると思います。

参考資料:『なぜ、セブンでバイトをすると3ヵ月で経営学を語れるのか?新装版・入門編』
『なぜ、セブンでバイトをすると3ヵ月で経営学を語れるのか?実践ストーリー編』

(タイトル画像:[puamelia]) 

  • 記事執筆:芹田
  • 無駄に使いがちな時間を、上手に使えるようになりたいです。