• バイトあれこれ
  • 2015/03/02

25歳以上の大学生たったの2%?日本人学生の異質な”働き”事情

はじめに

日本の大学生にとって、アルバイトとは日常と切っても切れない存在ですよね。例えば、garbagenewsの記事では日本の大学生の平均的なアルバイト勤務時間を12時間と示しています。確かに一般的な日本の大学生は、学費は学生の親が払っていたとしても、交際費は自分で払っている、というケースが多いように感じます。

しかし、先進国を中心とした欧米、中国、韓国などでは、大学生が日本の大学生と同じ時間ほど勤務することは、当たり前ではないようです。では、他国の大学生と比べて、どうして日本の大学生はアルバイトができるのでしょうか?それには大きく2つの理由がありました。

1. 大学生活が一回きり!

高卒後ストレート入学率は20%以上増え、現在では85%に達している。…日本の問題は、幼稚園から大学・大学院まで、同じ年齢のものが揃って進学し、そしてその最終出口である学位授与式を終えると、翌月の4月1日に揃って入社することである。そのチャンスをいちど逃すと、既卒というレッテルを貼られて、正規雇用の関門が著しく狭くなる。
出典 統計が語る日本の大学

日本では、大学進学者のうち25歳以上の割合がたった2%。その理由には、大学入学の難易度、キャリアアップとしての大学入学をするロールモデルが定着していないなど様々な理由があります。一方で、外国の平均は20%といわれています。(文部科学省資料より)

日本では、大学とは人生で一回きりであり、大学卒業後に就職した企業で一生涯働くことが一般的です。その背景には、日本の企業では新卒採用枠が中途採用枠よりも遥かに多い現実があります。そのような日本の社会システムは、先進国の中でも特殊なようです。例えばアメリカでは、就職後でもスキルアップのために大学に通い直し、再就職することは珍しくはありません

また、その就職への影響の違いは、大学院進学の違いにも反映されています。

アメリカの大学院進学率(人口千人当たりに対して9人)は日本(人口千人当たりに対して2人)の4.5倍です。これはアメリカの大学進学率(74%)が日本(51%)の約1.5倍であり(『大学進学率の国際比較(文部科学省)』より)、アメリカでは学部卒が就職においてあまり差にならないこと、企業側が専門性のある学生を求めているという2点が挙げられる。
日本とアメリカにおける、大学院進学という選択肢への捉え方の違い | 就活の栞

要するに、日本の大学は他国と比べて「社会に出る前の最後の学生時代」という印象が強いです。しかし、日本はギャップイヤー等の制度が整っているアメリカなどの先進国に比べて、大学在学中に社会経験を積む機会が少ないと言われています。そのため、学生は社会経験を求めて、バイトをする傾向が強いのではないでしょうか。実際に、t-newsの調査でも日本の大学生がアルバイトをする理由の第一は「社会経験を得るため」という結果になりました。

2. そもそも働く機会がある!

皆さんはアルバイトを探す時、どのくらいで見つかりますか?アルバイト求人サイトを見れば、たくさんの求人が掲載されていますよね。けれど、この状況は他国と比較した場合、かなり特殊だといえます。

例えば、スペインやギリシャ、イタリアといった欧米諸国では、短時間だけのアルバイトという概念がなく、しかも不況のためにそもそも働き口がない現状が続いています。しかも、失業者の大半は15歳~24歳と年齢層は若いです。実際に世界の若年層失業率のデータを見ると、ギリシャは58%、スペインは57%と6割近い若者が就職できていない状況が伺えます。参考:若年層失業率 国別比較統計・推移

他にも中国では、大学生がアルバイトをすることは一般的ではないといわれていました。その理由を中国人ジャーナリストの第一人者である、加藤嘉一さんが記事で次のように記していました。

北京に来たばかりのころ、筆者は同級生に対して「なぜ君たちはバイトをしないんだい?別に家庭教師じゃなくたって、マクドナルドやスターバックスで働いたっていいじゃないか。お金のためだけじゃない。キャンパス内では経験できない貴重な社会勉強になるはずだ」と提案したことがあった。
彼ら・彼女らの反応は一律に以下のようであった。「一人っ子政策は知っているよね?私たちはみんな一人っ子。両親はアルバイトを許してくれない。それに、大学生までがマクドナルドなどでバイトを始めたら、農村からやって来た出稼ぎ労働者の働き場所を奪ってしまうことになる。そうすれば、社会の安定が崩れてしまう。構造的な問題だよ」
(引用:中国インターン事情~一人っ子はバイトができない 加藤嘉一著) 

まさに目から鱗のような話ですね。世界の失業ランキングをみたとき、日本は92位。比較的雇用に恵まれている分、このような社会問題もなく、アルバイトをすることができるといえます。

つまり、気軽にアルバイトを探したり、変えたりできる日本の大学生の状況は他国に比べて恵まれているといえそうです

まとめ

いかがでしたか?私たちが普段当たり前だと思っていることも、別の視点からみたら違う方にみえてきますね。大学生活の間に、学業以外に様々な選択肢があるのは、他国の大学生からみたら興味深いのかも知れませんね。せっかく日本で大学生活を過ごしている皆さん、是非勉強にアルバイトと色んなことに挑戦してみてくださいね!

高橋衣紗奈の記事をもっと読みたい方はコチラ

毎日新記事公開中!編集部のおすすめ記事をもっと読む 

高橋衣紗奈

著者:高橋衣紗奈

現在、都内大学在学中。2014月11月からt-newsWebライターとして活動しています。
『本の楽しさを、もっと手軽に』をコンセプトに、BOOKPOP(http://bookpop.net/)というメディアを立ち上げ、運営しています。また、男性向けメディア(http://b-o-y.me/)も携わっています。
t-newsWebでは、『大学生の働き』に関する意外な事実や発見を届けて、ユーザーの皆様に楽しんで頂ける記事を発信していきたいです。学生スタッフの方々のサポートが手厚くて、本当に感謝してます。よろしくお願い致します!