はじめに
「『仕事』というより『作業』」、アルバイトにはそんなイメージがつきがちです。せっかくバイトを始めるなら、自分が売り上げに貢献できるようなアルバイトがしたい!そう思っている方も多いのではないでしょうか?
実は、セブンイレブンでのアルバイトでは「経営学」まで学ぶことが出来てしまうそうなんです。セブンイレブンのアルバイトとはいったいどのようなものなのでしょうか?アルバイトをお金を稼ぐため"だけ"ではなく、ほかに得られる何かに役立てたい方、必見です!
アルバイトにも”仮説・検証”を実施させる!
真の競争相手は顧客にあり!
ほとんどの小売店では商品の発注を仕入れ業者に対して行います。これはほとんど責任者やそのほかのベテランの方が行う業務です。しかしセブンイレブンでは仕入れ業務をアルバイトやパートも行うのです。これをセブンイレブンでは「発注分担」と呼んでいます。この仕事、かなりの責任を伴うことは明らかなのですが、これをアルバイトの店員が行うのです。もし予想を見誤って発注した分を大幅に売れ残してしまえば、それは発注した人の責任になります。セブンイレブンではアルバイトにも責任のある仕事を任せるのです。
では、この発注、具体的にどのように決断をしているのでしょうか。明日はどういったものがどれだけの量売れるのだろう。明日の天気予報は雨だから傘を大量に発注しておこう。明日は近くのホールでライブがあるから、飲み物を多く発注しておこう。こういった情報を基に発注内容を決めるわけです。つまりどういうことかというと、「明日の顧客のニーズを察知させる情報」の収集を基にした”仮説”が大事なわけです。
ではそのあとはどうでしょうか。仮説を立てて発注を行いそれを売ります。売ればどれだけ売れたのかという結果が出ます。もし思った以上に商品が売れなかったらそれは仮説が誤っていたことになります。そして何が誤っていたのかを考える。これが"検証"なわけです。
この仮説と検証。すべてのカギを握るのは「顧客のニーズ」なのです。顧客の気持ちをどう予測できるか。また検証により顧客のニーズが何であったのかを分析できるか。全て顧客がスタートなわけです。こうしていくうちに徐々にアルバイト店員でも「なぜなのか」と問いを立てて考えることが出来るようになっていくわけです。
会長と同じ業務!それが仮説と検証
仮説を立てるのは、アルバイトだけの仕事ではありません。今では人気商品となった「金の食パン」も鈴木会長の「安いパンよりもおいしいパンの需要が高まっているのでは」という仮説から生まれたものであるというエピソードがあります。つまり仮説を行うのは会長もアルバイトも同じなのです。会長と同じ土俵にアルバイトを立たせる。これがセブンイレブンのやり方なのです。
(参考:『なぜ、セブンでバイトをすると3ヵ月で経営学を語れるのか?実践ストーリー編』p.26)
なぜ学生でも”経営学”を語れるのか
セブンイレブンでは、学生アルバイトであっても、社員さんと同様に仮説検証をすることを求められます。こういった企業での最前線の仕事を行えるということは自分の成長に一石を投じてくれるのではないでしょうか。
これは、セブンイレブンでは学生アルバイトに対しても、経営参加を求めている、と言えます。仮説と検証。これはまさに経営学の基本的な考え方です。まず顧客のニーズをリサーチする。あらゆる角度から多面的に顧客を分析するわけです。そしてそれを基に仮説を立てる。何が売れるのだろうか、どれくらい売れるのだろうか。商品1つの発注を決断にするにあたって、様々な推測が求められます。その後、どれだけ売れたかという結果が出ます。
顧客のニーズは結果に直結しているわけですから、これを検証すれば次の仮説へとつながります。そして経験を活かしまた新たな仮説を立てるのです。この仮説と検証のサイクルこそが、経営の基本をなすものであり、これを繰り返すうちに自然に経営学を学ぶことが出来るのです。
まとめ
アルバイトにももはや社員のような扱いをするセブンイレブン。そこに責任は伴いますが、その分得れるものは大きいのではないかと思います。実践により得られる経営学の基礎知識には、給料と同等、いやそれ以上の価値もあり得るのではないでしょうか。アルバイトで何が得られるか、その点に一度立ち返ってみてもいいかもしれません。

2014年11月からt-newsWebライターとして活動中。東京大学に在学中であり、大学では哲学について学んでいます。哲学と現代社会の繋がりを考え、その接点として道徳教育に関心があります。t-news以外の場でも執筆を行っており、現在はエピニオ(http://epinio.jp/)というメディアで教育について論じています。t-newsでは読者さんにとっての「働く」と「学ぶ」の重なりを増大させることを期待した記事を書いています。