はじめに
こんにちは、t-newsライターのすみやんです。最近よく海外の映画を見るのですが、アメリカの映画だったりすると、高校生くらいの歳の学生がベビーシッターをしているシーンをちらほらと見かけるんですよね。これって日本であまり見かけないですよね。日本のベビーシッター事情はどうなっているのでしょうか...?教育業界に詳しい私がご説明したいと思います!
1. 大忙し!ベビーシッターさんの一日は大変!
日本ではあまり身近でないために「職業自体ホントにあるの?」と思っている方もいるかもしれませんが、アメリカや他の外国と同様に日本にもベビーシッターの仕事はあります!ではどんな仕事をしているのでしょうか?具体的なイメージを持てていない方のためにその詳細と、1日の流れをざっと確認していきましょう!
ベビーシッターは基本的に以下のような勤務条件が多いです。
- 【ベビーシッターの主な勤務条件】
・雇用形態:派遣社員やアルバイト・パート - ・給与相場:時給にして1,000円〜1,400円ほど
(※派遣会社や働く地域、勤務時間帯、仕事内容などで、給料には差が出てきます) - ・時給アップの要件:保育士や看護師などの資格を取得、育児経験が豊富にあったり、ベビーシッターとしての経験を積んだ場合(その他、早朝・深夜、障害児保育など労働環境などが考慮されるケース)
- (参考サイト:ベビーシッターを目指す人のための情報サイト キャリアガーデン)
家庭によって子どもの状況も異なるため、ケースバイケースな労働条件になります。また、資格を取得し専門的知識を備えた人の方が時給が高いようです。それでは、いよいよベビーシッターさんの一日をご紹介したいと思います!
自宅へ向かう
住所を調べて依頼主さんのご家庭に向かいます。交通費は支給される場合がほとんどのようです。
保護者との打ち合わせ
依頼したご家庭の親御さんとの打ち合わせを行います。その内容は膨大です。1日のことをこと細かに決めるからです。この時間からこの時間にご飯を食べて、そのあとは公園に散歩しに行ってもらいたくて、それでその時には...と1日の予定を親御さんから提示されます。
それだけではありません。何時間も自分の子どもを今日初めて会った赤の他人に預けるわけです。自分の子がどういったことが好きで、どういったことが嫌で、アレルギーや持病、身体の弱いところなどなど、親御さんは心配で心配で仕方ないんのでいろいろなことを教えてくださいます。
子どものことだけではありません。家のことを何も知らない人を自宅に入れるのですから、家のルールや触ってはいけないもの、何か通知音を出すけど気にしなくていいものなど、外に出る場合は自治体のルールも知らなければならないこともあります。結構大変ですね。。。
勤務開始
無事打ち合わせを終えたら勤務開始です。子どもと2人っきりになるわけです。子どもは乳児幼児であることが多いようですが、小学校低学年であることも。
□一緒に遊ぶ
お絵かきをしたり、本を読んだり、ゲームを一緒にしたり。子どもと親御さんの要望に合わせてさまざまな遊びをします。
□お昼ごはん
一緒にごはんを食べます。メニューはだいたい親御さんが用意してくださってます。ですのでそれを食べるサポートだったり、小さい子であれば歯を磨いたりもします。
□お昼寝
ごはんを食べたらお昼寝です。寝ている間もそばにいてあげなければならないのですが、見れる距離いれば軽い作業をしていてもいい場合が多いようです。
□お散歩
親御さんの要望があればお散歩に出ることもあります。車には十分気をつけます。心配性な親御さんであれば散歩のコースまで決める方もいらっしゃいます。
□勉強のサポート
文字を覚えたり、数字を書いたり、その年齢にあった勉強をしたりもします。最近は英語がブームだとか...。
勤務終了
親御さんが帰って来たら勤務終了です。今日1日のことを報告して終わりです。これだけたくさんのことをしたら、もうくたくたですね...。
どうでしょうか?ベビーシッターのイメージが掴めたのではないかなと思います。1日子どものお世話をするわけですが、楽そうに聞こえて意外に大変なのです。ただ子どもと一緒にいるだけで楽しいという方にとっては天職なのかもしれませんね。
(参照:http://careergarden.jp/babysitter/nagare/ )
2. 実は増えていた!?知られざるベビーシッター事情
2-1. 日本のベビーシッター事情
さて、ベビーシッターという仕事、日本にはあまり馴染みがないですよね。仕事内容も大変そうだし、人気がなくて年々減っているんじゃないの...?いやそんなことありません。実際は日本におけるベビーシッターの人数は増えているのです。下の表をご覧ください。
(出典元:日本経済新聞)
共働きの家庭が増えていることがわかります。それに伴ってベビーシッターの需要も高まり、その利用者は年間3〜5%ほど増えていっているようです。しかし、まだまだベビーシッターとして働いている人は2万人ほど。ポピュラーな仕事ではないことがわかります。
2-2. 日本と比べてアメリカは?
一方海外の国でのベビーシッター事情はどうなっているのでしょうか。アメリカではベビーシッターがかなりポピュラーの業種として知られていて、高校生のアルバイトとしてやられることもしばしば。日本でいう家庭教師みたいなものなのでしょうか。これは驚きの事実ですよね。私なら高校生に子どもを預けるのは怖いですね...。
アメリカにおける13歳以下の子どものいる家庭数がおよそ2000万世帯。その3%ほどがベビーシッターを利用するとのことなので、約60万世帯がベビーシッターを利用しているということになります。アメリカの人口は日本の3倍ほどですから、それを日本に置き換えても20万世帯もの人がベビーシッターを利用していることになります。日本よりも圧倒的に多いことがわかりますね。ベビーシッター人口は昔に比べ減りつつはあるものの、いまだ需要は高いようです。
(参照:日本経済新聞)
3.「13歳以下の子どもを1人にしたら罰金」
では、なぜ日本とアメリカでこうもベビーシッターの利用率が違うのでしょうか。それは文化と制度の違いにあります。
日本では昔からベビーシッターに子どもを預けるという習慣がなかったために、未だそれは文化として根付いてないのです。逆に言うと、アメリカでは50年前にはベビーシッターの利用率が15%以上であり、ごく一般的なものだったのです。これが現状のベビーシッター普及率の差の理由なのです。またこの文化の根底として制度の違いがあります。
アメリカでは13歳以下の子どもを一人にしてはいけない、という法律があるのです。そのため、子どものお母さんは「ごはん買いに行くから留守番しててね」という日本ではごく当たり前の行動も許されないのです。子どもを守ることは保護者の義務とされているのです。このことがベビーシッター需要を生み出し、ベビーシッターをポピュラーにしているのでしょう。以上のような文化や制度によって深く根付いているベビーシッターは、アメリカの学生にとって身近な職業であるようです。
4. カフェのバイトよりも「ベビーシッター」が人気!
なんと、アメリカでは大学生のアルバイトとしてベビーシッターが人気なのです!あるサイトで「大学生に人気のアルバイト」を発表していたのでうすが、その順位はなんと14位。カフェの店員やウエイトレスを抑えてのランクインです。子どもと一緒にいるのが楽しい、という学生ならすばらしいアルバイトですよね。僕もぜひともやってみたいと思ってるところです!
(参照:Ranker)
終わりに
このように文化や制度の違いによってさまざまな仕事が生まれるわけです。ベビーシッターはあくまで一例でこういった「外国では当たり前だけど日本では珍しいもの」は他にもたくさんあります。発想を転換すれば、「外国で一般的にあるのならば日本にあってもいいのでは?」と考えることもできますよね?ベビーシッターのアルバイトは依然として需要は少ないものの、存在しています。
求人サイトを開いてぼーっとアルバイトを探すのではなく、外国のアルバイト事情などを参考にしていろんなアルバイトを調べてみいいのではないでしょうか?「へえ、海外ではこんなアルバイトあるんだ〜!」と考えながら、日本でも探してみると意外にそれは日本にもあったり。バイトを探しててピンと来るようなものが見つからなかった今までとは違い、天職ならぬ「天アルバイト」がもしかしたら見つかるかもしれません。

2014年11月からt-newsWebライターとして活動中。東京大学に在学中であり、大学では哲学について学んでいます。哲学と現代社会の繋がりを考え、その接点として道徳教育に関心があります。t-news以外の場でも執筆を行っており、現在はエピニオ(http://epinio.jp/)というメディアで教育について論じています。t-newsでは読者さんにとっての「働く」と「学ぶ」の重なりを増大させることを期待した記事を書いています。