• 大学生活
  • 2025/07/08

東大の多様な魅力を発信し続けるオンラインメディアUmeeT編集長が語る、"面白い"の追求

「東大生」と聞くと、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか? 

「勉強好き」「ちょっと変わっている」…? テレビなどで登場する東大生からそうした印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、東大にはもっと多様な学生がいて、一言で言い表せない魅力がたくさんあります。今回t-newsでは、「この大学は、もっと面白い。」をコンセプトに、東大の多様な魅力を発信し続けるオンラインメディア「UmeeT(ユーミート)」の代表・編集長で、東京大学経済学部4年の緒方麻明知(おがた まあち)さんにインタビューをしました。

本記事では、UmeeTの魅力やメディア運営への想い、「編集」の面白みなどに迫ります。また、緒方さんの団体代表としての経験からアルバイト経験まで、学生生活のあらゆる角度からお話を伺いました。ぜひ、学生生活を送る上での参考にご覧ください。
(取材・文=t-news編集部)


UmeeT 代表・編集長 緒方麻明知さん

  

緒方さんのプロフィール

――まずは緒方さんについて、学部や専攻を教えてください。

緒方さん: 入学当初は理科一類に所属しておりましたが、進学振り分け制度を使って3年生から経済学部に進学しました。もともと数学が好きで、数学科を志望していたのですが、大学数学はひたすら研究に没頭するような印象がありました。そこで、より実用的な方向で生かせないかと探した結果、経済学部への文転を選びました。

所属ゼミでは「マッチング理論」というゲーム理論のひとつを研究しています。たとえば、待機児童問題における保育園と保護者のマッチングや、新卒社員と企業の採用マッチングなどを考察し、そこから理想の制度を考えていきます。理論系のテーマなので、これまで学んできた数学力も生かされていますね。

挑戦する東大生の多様な魅力を発信!UmeeTの活動について

――あらためてUmeeTとはどのようなメディアなのか教えてください。

緒方さん:UmeeTは「この大学は、もっと面白い。」をテーマに活動している東大発のウェブメディアです。東大生というと、「ガリ勉」のようなステレオタイプなイメージがある人もいるかもしれませんが、キャンパスにはもっといろんな分野で活躍する面白い東大生が在籍していたり、学術面に限らない大学の魅力もたくさんあります。
そうした多面的な魅力を伝えたい!という想いで、2015年に立ち上げられました。2025年の今年は、10年目という節目を迎えます。立ち上げ当初は、スタートアップ企業のような雰囲気があり、徹夜しながらこのメディアを作っていたと聞いています。

UmeeTで特に力を入れているのは、インタビュー記事を通して「人」の魅力の発信です。インタビューの対象者は、現役生から卒業生で変わった進路に進まれた方などさまざまです。そのほか、気軽に読める「ネタ系」の記事を書いたりもします。
東大生に関わるものであれば基本的にどのようなテーマでも扱う、自由なメディアだと思います。

東大発オンラインメディア「UmeeT」
https://todai-umeet.com/

――コンセプトで「この大学は、もっと面白い。」と掲げるほど、東大生へのステレオタイプなイメージがあるのでしょうか?

緒方さん:テレビなどで、東大生が取り上げられるとなると、「ガリ勉」だったり風変りな人たちが紹介されやすく、「東大生ってそういう人たちばっかりでしょ」みたいなイメージが少なからずあります。そういうところに抗いたいというか、テレビとかには取り上げられないけど、他にもっと面白い人たちがキャンパス内にいるよというのを、発信したいと思いが立ち上げのきっかけだったそうです。

――UmeeTはどのような体制で運営しているのでしょうか。

緒方さん:現在は、編集部とエンジニア合わせて5名で運営しており、そのほか記事を執筆するライターが15名ほど所属しています。もちろん全員東大生です。
ライターは、書きたいテーマがあればUmeeTに寄稿するかたちで、各々自分のペースで活動しています。UmeeTの編集部としては、ライターが書く記事ごとに担当編集として付き、原稿のチェックからウェブサイトでの公開までをサポートしています。
また、編集会議でアイデアを出し合い、それを編集部が記事を書く場合もあれば、ライターに依頼するケースもあり、記事の作り方はケースによります。

UmeeTの読者層は、東大生だけでなく、東大への入学を目指している高校生にも見ていただいています。実際、4月に実施したサークルの新歓活動の際にも「受験生の時に読んでました!」と言ってくれる方がいて、励みになりました。
東大には他にもいくつか学生メディアがありますが、UmeeTではラフな文体で東大生の本音を伝えることを意識しているので、「実際にこういう東大生がいるんだな」という内部事情を知るきっかけになり、東大を目指す受験生にとっては嬉しいのではないかと思います。  

 UmeeTのメンバー

UmeeTへの参加のきっかけ

――緒方さんは入学してすぐUmeeTに参加したのでしょうか?

緒方さん: 1年生のサークル選びの時に、東大のサークル情報がまとまった雑誌を読んでUmeeTのことを知りました。もともと文章を書くことに興味があったことと、インタビューを通して東大のすごい人たちに出会えるきっかけになるのではと期待して、サークルに参加しました。
実際、インタビューする際には、東大のメディアという看板があるので卒業生などにも声をかけやすく、そこはUmeeTの強みだと思っています。
現在は、編集長という立場からインタビューで人に会う機会は少なくなりましたが、編集部員やライターが書く記事をたくさん読んでいるので、そこでも東大にはやっぱりいろんな人がいるなと東大生の多様さを実感しています。
インタビュー記事だとその人の人生を深く知れるので、読んでいてすごく面白いなと感じます。
例えば、現役東大生ミステリ作家の浅野皓生さんにインタビューさせていただいた記事は、法学部での学びを作品づくりに生かしているところや、記事を通して伝わってくる浅野さんの人柄・考え方が特に印象に残っています。
(参考:https://todai-umeet.com/article/66586

 

編集長という役割について

――編集長として普段はどのような役割を担っているのでしょうか?

緒方さん:公開前にすべての記事に目を通して、公開のGOサインを出します。基本的にはライターの書いた原稿を尊重したいので、チェック時は大幅なフィードバックをすることはあまりなく、読みやすくするための工夫を伝える程度です。
編集長として特に心がけていることは、自分がその記事の最初の読者となるので、ライターにちゃんと記事を読んだ感想を伝えることです。ウェブ記事だと読者から感想をもらえる機会が少ないので、読んだら必ず「ここが面白かったよ」と、ライターや編集担当に伝えるようにしています。
自分自身も書いた記事の感想をもらえると嬉しいので、他の人にもしてあげたいなという思いからしています。編集長としてそれが一番大きい役割かなと考えています。

―― 編集の経験が生活の中で生かされたり、身に付いたことはありますか?

緒方さん:他のメディアの文章を読んだり、街中のポスターや絵を見た時に、その制作までの裏側を想像するようになりました。「これは多分こういう伝えたいメッセージがあって、このように編集されたんだろうな」など、コンテンツの制作過程を考えられるようになりました。
自分が作るとしたらどういうところに気を付けるか、自分ごと化して考えられるようになりました。駅で見かけた広告のキャッチコピーも「このキャッチコピーいいな」とか「自分だったらなかなか思いつかないな」などと考えるのは面白いです。

――緒方さんはサークルの代表であり編集長ですが、何かのリーダーになる経験は初めてでしたか?

緒方さん: 高校時代は部活動の部長と生徒会長の経験がありました。そのためリーダーという役職には慣れていますが、大学は取る授業やバイトの時間も人それぞれなので、高校と比べるとどうしてもメンバーとの結びつきも弱くなりがちで、難しい面はあります。毎日会うわけではないので、連絡を取る時にも相手の気持ちを考えたり細かな気遣いを大切にしています。
UmeeTは大きな組織ではないため、代表と編集長を務めることには不安はありませんでした。編集長としてやりたい企画もあるのでそれを実現できるよう、今年は頑張りたいなと思っています。
やはり責任ある立場なので、「自分が代表なんだ」という意識は持っています。高校の部活みたいに、顧問の先生のような先導者が不在で、自分たち主導で進めないとなにも進まないなと最近特に実感しています。自分たちで熱意を持って進めないといけないと思います。

 アルバイト経験について

――日々、お忙しくされているかと思いますがアルバイトのお話もお伺いしたいです。緒方さんはどんなアルバイトをしていますか?

緒方さん:1、2年生の頃は、大学受験雑誌の添削問題で読者から送られた答案の添削アルバイトをしていました。自分も高校時代にこの雑誌の添削問題を利用していたので、大学生になってそれを添削する側に回ったという感じです。
月に1回、10人程度の答案を添削し、アドバイスしていました。答案に書かれたことから、この子がどのように問題を解いたのか?というのを想像しながらアドバイスを書くのが面白かったです。

また、1年生の頃から今まで続けているのはオンラインでの個別指導の塾のアルバイトです。基本的には数学を教えているのですが、アルバイトを続けているうちに、教えるのが好きだと気づきました。
オンラインでの個別指導なので、生徒は質問がある場合にPCの前に来て、家にいる僕と繋がり、質問に答えるという形で教えていきます。質問される問題も都度変わるので、その場その場での対応が必要で、瞬発力が試されます。

――オンラインでの個別指導の面白みや困ったこと、などをもう少しお聞かせください。

緒方さん:生徒の気持ちを考えてどういう表現が分かりやすいか、試行錯誤しながらやっています。自分は勉強が得意なので、塾講師は自分の能力を生かせて合っていると感じます。教える場数も踏んできたので、教えるのが得意だと胸を張れるようになりましたし、分からない子の気持ちを理解できるようになったと思います。

とはいっても、やはり教えるうえで説明に詰まることはあります。その度に業務後に自分で「ここはこう伝えればよかったな」と、自己反省会しながら、次に活かしています。丁寧に言葉を選びながら、ちゃんと伝わる表現がなにか考えています。
オンラインの指導の場合、画面越しだと、生徒がマスクをしている場合もあったり、表情が読み取りづらいです。自分もiPadに板書を書きながら指導するので、常に生徒の反応を見ることは難しいです。そこで、小さな質問をたくさん投げかけて、答えてもらうようにして、どこでつまづいているのか、生徒の反応を探るようにしています。

今後の展望について

――UmeeTとして、緒方さん個人として、今後取り組みたいことなどあればお聞かせください。

緒方さん:UmeeTとしては、今年で10周年なのでイベントを実施したいと考えています。たとえば、過去に取材した方をご招待したり、東大生を招待したり、みんなで集まれるようなイベントを何か開催できれば嬉しいな、と考えています。

また個人としては、来年で卒業するので自分が好きな数学の学習に関連したことで起業したいと考えています。僕自身、高校時代に数学オリンピックの勉強もしていたほど数学が好きなのですが、受験の数学だけではない、数学の楽しさを広めたいと思っています。
詳細はまだ具体的に決まっていませんが、数学がもっと娯楽として広まっても良いんじゃないかなと感じています。たとえば、謎解きやクイズは結構頭を使うのに広く親しまれているので、数学も同じ並びに入らないかなと思っています。

――本当に数学がお好きで一貫されていますね!緒方さんであればUmeeTの経験も生かして数学のメディアも作れそうですね!

 

最後に、告知したいことがあればお願いします。

緒方さん:UmeeTにはたくさん面白い記事があるので、東大に興味がある人もない人も、暇つぶしにぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
また、UmeeTではメンバーも募集しています!ライター、プログラマー、エンジニア、フォトグラファーも募集しているので、興味がある方はぜひご連絡ください!

>>問い合わせフォーム
https://todai-umeet.com/contact

>>UmeeTの活動紹介記事
https://todai-umeet.com/article/70881

――本日は貴重な話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

 

緒方さんは、ご自身の好きな「数学」を追求し、専攻やアルバイトを選択されていました。その中で「教える楽しさ」に気づき、今後は「娯楽としての数学」という新たな可能性を追求しようとする、探求心に満ちた力強い姿勢が印象的です。UmeeTの掲げる「この大学は、もっと面白い。」というメディアのテーマと、緒方さん個人の「面白い」を追求する姿勢が、一貫して結びついている点が印象的でした。

ぜひUmeeTをチェックしてみてください!

・UmeeT公式サイト:https://todai-umeet.com/
・Instagram: @umeet_media
・X: @UmeeT_media

 

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