• 2015/09/11

【開成→東大→農水省の官僚が、霞ヶ関を飛び出した!】お役所より未知の教育界を選んだ訳とは

世界で生きる教育推進支援財団の竹田さんにインタビュー

世界で生きる教育推進支援財団で働いている竹田さんに、お話を伺ってきました。この記事は前編です。

後編はこちら→【開成・東大卒官僚が、未知の教育の世界へ】新たな教育のカタチを広めるため奮闘する、一人の男性の物語

竹田 潤さん(以下敬称略)

開成高校→東京大学農学部卒
大学時代はバトミントンサークルに所属しながら、稲の研究に打
ち込む。その後農林水産省に入省したがある出来事がきっかけで3年で退省し、現在は、経済的な理由によって国際バカロレアの教育を受けることができない子どもへの金銭的な支援を行う、『世界で生きる教育推進支援財団』の運営に尽力している。

インタビュアー
石岡 佑梨 早稲田大学 文化構想学部2年
読んだ方々が、何か新たな発見をできるような記事を書いていきたいです。 趣味はチェロを弾くこととラーメン食べ歩きです。

勉強・バイト・サークル!多くのことに打ち込んだ大学生時代 

石岡:本日はよろしくお願いします。はじめに、竹田さんの大学生時代について教えていただけますか

竹田:「私は、大学時代は東京大学の農学部で、主に稲の研究をしていました。その進路を選んだのは、生き物、特に植物が好きだったからです。それと、私の好きな『食』というところに農業と関わる点があったことも理由の一つです」 

石岡:学生時代には、何かアルバイトをなさっていましたか

竹田:「チェーン店のイタリアンレストランで約2年半勤務していました。そこではキッチンで働いていたのですが、実は私料理の経験が全くなかったんです(笑)」

石岡:それなのにイタリアンレストランで働こうと思われたきっかけは何だったのですか

竹田:「一言で言えば、社会を知りたかったんです。自分が慣れ親しんだコミュニティーの外の人と関わり合いを持って、大学の外の社会を早く知りたかった。その点飲食業は、お客さんと接するサービス業という面もあったので、いいなと思って、アルバイトに応募しました。いざやってみると、フリーターの方や、他の大学から来ている人など、働く人も多種多様で、その環境はいい刺激になりましたね」

石岡:アルバイトをして、良かったと思われることはありますか

竹田:「消費者の視点とサービスを与える側の視点、その両方を知ることができたことですね。それまでは、お金も払ってるしサービスされて当然だろって思ってたんです。でもサービスする側になって、実はいろんなところでいろんな人の気遣いを受けていたんだということが分かりました。あと良かったことは、アルバイトの話が就職活動に使えたことです。大学とは全く別のコミュニティでの活動も就活の時に話すことができると、自分のエピソードを語るうえで厚みが出るですね」

石岡:大学では、その他何か活動をされていましたか

竹田:「バトミントンのサークルに四年間入っていました。今もときどきそこに顔を出したりするのですが、OBOGになっても気軽に入れるサークルに入れたのは良かったと思います」

就職活動を経て、農林水産省へ

石岡:大学卒業後、農林水産省に入られたと思うのですが、そこを選ばれた理由は何ですか

竹田:「『自分の好きなこと(食・農業)を通して、社会に対して何かできることはないかな』と考えていたんです。それで農林水産省を受けました。面接でいろんなことを聞かれても特に困らず進めました

石岡:今の就活生を見ていると、面接で困ってしまう人も多いと思うのですが、竹田さんのように自信をもって就活に臨むためにはどうすればいいのでしょうか

竹田:「そういう人たちは、構え過ぎであることと、目上の人や初対面の人と話すことに慣れていないんだと思うんです。幸い私のやっていた接客業では、いろんな人とかかわることができました。学生時代から『なるべく目上の人と喋ろう』と意識していたことも良かったと思います。あと、会社を受けるときには、その業界が好きだという思いや何かしらの興味を持つといいと思います」

ついに農林水産省に入省!その仕事内容とは

石岡:農林水産省に入られた後は、どのようなことをなさっていたんですか

竹田:「最初は研修で、大阪の農家さんのもとで一か月間住み込みで働かせていただきました。研修後は、現場で起きた災害などの発生に対処するために、各地域にいらっしゃる人たちを統括するような部署で、全体的な業務の取りまとめをやっていました。なので、自分で仕事を引き受けるというよりも、外からやってきた仕事をほかの人にお願いする仕事をやっていました」

石岡:それでは、転勤や出張はあまりなかったんですね

竹田:「はい、ずっと霞ヶ関にいました。あと霞ヶ関は本当に現場から遠くて、先ほど話した研修のような、現場の人たちとコミュニケーションを取る機会が、非常に貴重でした」

農林水産省を飛び出し、未知の教育の世界へ!

石岡:その後、農林水産省を辞められたと仰ってましたが、そのきっかけがありましたら教えていただけますか

竹田:「きっかけは、東大での私の友人が、就活をしている中で心が病んでしまって亡くなってしまったんです。そのとき、なぜそうなってしまったのか考えたのですが、今の日本の教育はどうしても学力重視の傾向が強いことを知りました。しかし社会は社会で学力とは別に求められるスキルがある。それを教育界はあまり分かっていない、そして一方で経済界にとって、教育界はあまり近い存在ではないと思うんです。そのため経済界がこういう学生、能力を求めているっていうことが、なかなか教育界に伝わらないと考えました。それで私は、経済界と教育界の間のギャップが問題なんじゃないかと思ったんです。

そのことに気づいたときに、何か新たに行動を起こすべきじゃないかと思ったんですね。農水省の仕事は嫌ではなかったですし、むしろ好きだったんです。しかし仕事をやりながら新しい活動を始めるというのは現実的にできないと思いました。そして悩んだ末、入省から3年を区切りに農林水産省を辞めました」

石岡:その一歩はかなり踏み出しづらかったと思うのですが、本当に思いが強かったんですね

竹田:「そうですね、自分は農水省にも、強い思いがあって入ったのですが、やめるときもそれと同じですね。社会に対して何のために、どのように、自分の能力とかスキルを使って貢献していくのかっていう行動原理が非常に重要だったんだと思います」

後編はこちら→【開成・東大卒官僚が、未知の教育の世界へ】新たな教育のカタチを広めるため奮闘する、一人の男性の物語

竹田さんの活動はこちらから

国際バカロレア→http://www.ibo.org

世界で生きる教育推進支援財団→http://www.sekaideikiru.com/ 

世界で生きる教育推進支援財団

国際バカロレアは従来の教育に比べて、生徒に課される経済的負担が大きいものです。世界で生きる教育推進支援財団は、世帯の所得に応じた支援を行うことで、経済的な理由によって国際バカロレアを受けることを諦めることのないような社会を目指し活動しています。興味のある方は是非協力してみてはいかがでしょうか。