• バイトあれこれ
  • 2025/03/11

探究メンターは「フック探し」。生徒の興味のきっかけを見つけ、可能性を広げる仕事

探究メンターインタビュー:増田栞里さんに聞く、探究が育む「自己表現」の力

 「探究学習」は、生徒が自ら問いを立て、その答えを導き出す力を養う、これからの教育の中心となる科目です。そんな中、生徒の学びに伴走し、その可能性を広げる「探究メンター」という仕事が注目を集めています。

今回は、日本大学大学院で宮沢賢治の研究をされている増田栞里さんに、ご自身の研究から探究メンターの仕事、そして生徒の成長への想いについてお話を伺いました。

 宮沢賢治研究から探究メンターへ

増田さんが大学院で研究されていることを詳しく教えてください。

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を対象に、日本語の表現について研究しています。元々、文芸創作が好きで、子どもの頃から自分の気持ちや考えを文章で表現していたんです。

きっかけは、幼稚園の頃に「知らないこと」への恐怖をなくしたいと思い、本を読み漁ったことでした。小学校の図書館にある本を全部読み終えてしまい、海外の児童文学を読むほどに。哲学的思想にも触れる機会が多かったですね。

大学に入ってからは、偶然、宮沢賢治を研究されている教授との出会いがあり、その方の背中を追うようにして、今もずっと賢治の研究を続けています。

 
 
探究メンターは、いつから始められたのですか?

2022年の4月から探究メンターとして活動しています。最初は「塾講師のアルバイトかな」と思っていたのですが、今では先生方の「目」や「耳」の延長線上として、生徒さんの主体的な成長を促す仕事だと考えています。

以前、短期間ですが塾講師の経験はありました。ある時、教育に携わる仕事をしてみたいなと思っていたら、t-newsで、たまたま探求メンターの募集を見付けたんです。塾講師や家庭教師は勉強を教える立場だと思うのですが、探究メンターは勉強を教えるのではなく、生徒の学びをサポートする立場。そこに応募のきっかけとなる魅力を感じました。

現在も様々な学校で、個別の指導からグループワークまで、探究活動をサポートしています。色々な学校を見ることで、「探究」や「考える力」の本質をもっと知りたいと思っているので、単発の参加も積極的に行っています。

探究メンターが大切にする3つのこと

探究メンターとして働いていて、意識していることや大事にしていることはありますか。  

主に3つのことを大切にしています。  

1. 生徒のことを知る

まず、メンタリング(面談)の最初に「あなたのことを教えて」と質問します。話してくれたことは必ずノートに書き留め、何に興味があるのか、どんな部活をしているのかなどを知るようにしています。 

アドバイスは、生徒がどこで迷っているのかを汲み取り、論理性の誤りを指摘する程度にとどめます。今年のメンタリングでは、あえて文献を提示せず、「CiNiiで検索してみたら?」「図書館司書さんに聞いてみたら?」といった、「調べ方」を伝えることを意識していました。これは、司書資格を持つ私自身の経験が活かせた部分だと思います。  

2. 面白いと思うことが大切

学校の先生方が勉強を教えることに尽力されている中で、探究メンターの私ができることは「面白いと思うことが大切なんだよ」と伝えることだと思っています。生徒自身の興味や好奇心を尊重し、それをとことん深めていけるようサポートします。  

3. 否定しない

生徒さんの意見は絶対に否定しません。論理性の誤りだけを指摘し、私自身の意見や感想は積極的に伝えるようにしています。

 

生徒の「フック」を見つけ、自己表現を後押しする

自分の意見をなかなか言えない生徒さんに対しては、どのような工夫をされていますか?

そのような生徒さんには、まず自分自身の話をするようにしていますね。
私はとにかく色々なことに興味を持つのが、自分の強みだと思っています。その強みを活かして、生徒さんがポツポツとこぼした言葉に興味を持ち、とにかく話題を拾って話すことを意識しています。この間ニュースでこんな話をしてたよ、今って○○が流行ってるみたいだよ、この前動画を見ていたらこんなCMが流れてきてね、といったような感じですね。

基本的にメンタリングが始まる前に、生徒さんが何を探究したいのかという大まかなテーマは共有されていることが多いので、どこに興味や関心の引っ掛かり、フックがあるのかを話の中で探っています。私は「フック探し」と呼んでいて、例えば目がちょっと開いたり少し早口になったり口角が上がったり、生徒さんの表情や口調が変わる瞬間を探すようにしています。人って興味がある話の時は体に反応として出てくるので、それをなるべく見るようにして、ここだな、と思った話題を深堀してますね。同時に、こんな見方もあるよ、あの見方も面白いんじゃない?といった提案もするようにしています。

今後、生徒さんたちにどのような変化が起きたら嬉しいですか。

自己肯定感を高めて、自己表現ができる人に成長してもらえたら嬉しいです。

これからの社会は、変化が激しく、生きづらさを感じることもあるかもしれません。そんな時、自分を守ってくれるのは、「自分」を表現できる力だと思っています。「私の主張はこうで、あなたの主張は何ですか?」と、落ち着いて対話できる力は非常に大切です。

探究メンターという存在が、生徒にとって「自分の気持ちをオープンにしても大丈夫な場所」だと感じてもらえるよう、私自身も、もっと伝えていきたいです。

「表現すること」が、自分を自分たらしめる

最後に、増田さんご自身の今後の目標を教えてください。

一つは「研究」です。研究を通して、日本語の豊かな表現の可能性を発信し続けたいと思っています。

もう一つは、誰でも生きやすい社会を作りたいという想いです。以前、創作団体を立ち上げて、様々な人と文章やイラストを共有していました。この団体を始めたのも、自分の中の閉塞感や生きづらさを「表現」に昇華することで、生きやすい社会になるのではと感じたからです。

芸術表現は、時に「不要不急」と言われてしまいがちです。それでも、自分が自分であることを示したり、人とのコミュニケーションを取ったりする上で、表現することは欠かせないのだと思います。探究メンターとして、一人でも多くの生徒が、自分をアウトプットする楽しさを見つけてくれたら嬉しいですね。

 

探究メンターとして、あなたの「好き」を活かしてみませんか? 

増田さんのインタビュー、いかがでしたか?

探究メンターの仕事は、あなたの専門性や経験を活かし、生徒一人ひとりの個性を引き出しながら、その成長に伴走するやりがいのある仕事です。

ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひ下記から詳細をご覧ください。 あなたからのご応募をお待ちしています! 

探究メンターの募集要項 

  • ◎勤務地
    オンラインのため勤務場所は問いません!全国どこからでもOK
    ※一部、学校実施のプログラムもあります。

  • ◎勤務時間
    週1・1時間から勤務OK!
    レギュラーシフト無し!
    ※毎月公開される勤務案件に対して、ご自身の都合に合わせて勤務が可能です。

    ◎給与
    ・時給1,530円~

    ※交通費全額支給
    ※昇給あり

  • ◎応募条件
  • ・4月時点で大学もしくは大学院に所属している方