• 大学生活
  • 2025/08/15

早慶横断で活動する学生団体Crich その活動とメンバーが語るアルバイト体験談

初めての大学生活、初めてのアルバイト――特に1年生は、多くの「初めて」に直面し、戸惑うことも少なくありません。t-newsではそんな皆さんの「初めての体験」に寄り添い、大学で活躍する先輩たちをインタビュー形式で紹介しています。

今回は、早稲田大学と慶應義塾大学を拠点に活動する学生団体「Crich(クリッチ)」の髙木香里さん(慶應義塾大学理工学部2年生)と福井野々花さん(早稲田大学文化構想学部2年生)にお話を伺いました。

Crichは「Campusライフを、よりrichに」を理念に、新入生から在学生まで、幅広い学生の大学生活を豊かにするための情報発信やイベントを開催する学生団体。コロナ禍で発足し、今や総勢50名を超えるメンバーが所属するCrichは、学生の「知りたい!」を形にする勢いのある団体です。本記事では、Crichの活動内容や魅力、お二人のリアルなアルバイト経験から、あなたの大学生活やアルバイト体験を楽しくするヒントを探ります。ぜひ、最後までご覧ください。(取材・文=t-news編集部)

左:福井野々花(ふくい ののか)さん、右:髙木香里(たかぎ かおり)さん

お二人のプロフィール

――まずは髙木さん、福井さん、お二人ご自身について、大学での専攻やご趣味など幅広くお聞かせください。

福井さん:早稲田大学文化構想学部に所属しています。3年生からゼミが始まるので専攻は未定ですが、今は社会学に興味があります。幅広い学びができる早稲田の特徴を活かし、公務員志望として法律や地域連携・地域貢献に関する授業も履修しています。 趣味は、テーマパークに行くことが大好きで、周囲に自分の好きなテーマパークを布教活動をするほどです(笑)。祖母が伊勢に住んでおり、幼い頃から度々訪れていました。今後は希望者を募ってCrichのメンバーで三重県旅行旅行も企画したいと思っています(笑)

福井さん

髙木さん:私は慶應義塾大学理工学部に所属しています。情報工学科でプログラミング、画像処理などを学んでいます。4年次に研究室が決まるのですが、先日、企業の方から画像処理を使った電車・駅での安全確認デバイス開発の話を聞き、強く興味を持ちました。実際に誰かの役に立っていると実感できる仕事は魅力的で、生活に直結する研究ができればと考えています。 趣味は、手先が器用なこともあり、消しゴムはんこ作りです。中学生の頃から始め、100円ショップのハガキサイズの消しゴムを彫ってスタンプにしています。漫画のキャラクターをトレースしたり、最近では「推しの子」のスタンプも作ってみました。今後はオリジナルキャラクターでLINEスタンプ制作にも挑戦したいです!

髙木さん

――お二人はそれぞれ大学も趣味もさまざまですが、Crichというサークルで良い交流になっていますね!

Crichへの参加のきっかけ

――お二人はいつCrichに参加されたのですか?どのようなきっかけで参加されたのでしょうか?

福井さん:入学してすぐ参加しました。Crichは2月頃から新入生向けにX(旧Twitter)で積極的に情報発信をしており、大学に関する情報収集でアカウントを見つけました。質問箱で「定期券の買い方」や「履修登録の方法」など、大学生活の様々な悩みに丁寧に答えてくれたんです。早稲田大学は規模が大きいので情報収集に苦労していたこともあり、その経験から、自分も新入生をサポートしたいと思い参加を決めました。

髙木さん:私もCrichのXでの親切な対応を見て、来年度の新入生の不安を解消できる存在になりたいと思い、入学直後に参加を決めました。また、春先に開催されるイベントに参加し、自分も企画側に立ってみたいと感じたのも理由です。入学前からSNSで情報収集する新入生が多く、私も参加していたLINEのオープンチャットでもたくさん寄せられる質問に一つ一つ丁寧に答えてくれたので、Crichの存在はとても心強く、安心感がありました。

Crichの理念や活動内容、成り立ちについて

――あらためてどのような活動しているのかなど、Crichについて教えてください。

髙木さん:Crichは「Campusライフを、よりrichに」を理念に掲げ、SNSでの情報発信やイベント開催を行っています。学事情報だけでなく、資格や私生活に関わるイベント・情報発信を通じて、より多くの学生の生活を豊かにすることを目指しています。在学生はもちろん、入学前の不安を抱える新入生へのサポートも特徴です。 Crichは、コロナ禍の2021年、当時入学したばかりの慶應1年生が「もっと豊かな大学生活を送れるはずなのに、PCばかりに向き合っている…」と感じ、仲間とともに立ち上げました。当初は慶應生3名がインターンで培ったスキルを活かしていましたが、活動の幅を広げるため、早稲田生の協力も得てWebサイトを立ち上げ、現在の活動に至っていると聞いています。

ウェブサイトやSNSで早慶生に役立つ情報を常時発信中

福井さん:毎年2月頃からは、新入生向けのSNSアカウントで情報発信をしています。SNS担当班が運営していますが、イベント開催時にはメンバー全員で企画・運営にあたります。 自分たちだけでは分からないことは企業に講演をお願いするなど、その道の専門家を招き、学生に届けます。また、学生の生の声が届くよう、履修相談やキャンパスライフ紹介のイベントを開催。インターンを経験したCrichメンバーが話す企画も昨年開催しました。

――学内だけでなく外部の協力も仰ぎながら、さまざまな取り組みをされているのですね。そうしたイベントの企画はどのようにして決めているのですか?

福井さん:早慶生に向けてPRしたい企業からの協賛で毎年開催するイベントもありますが、Crichメンバーの「この企業とやってみたい!」という熱意も大事に企画を進めています。例えば昨年は、愛知県出身のメンバーが「地元企業とコラボしたい」とトヨタ自動車に働きかけ、イベント開催が実現しました。

髙木さん:このイベントでは、トヨタ自動車の豊田章男会長の元で仕事をされている方々から、章男会長の学生生活やこれまでのキャリアについて、講演いただきました。早慶生だけでなく、他の大学の学生も参加でき、大学の垣根を超える貴重な機会となりました。

トヨタ自動車協力のもと開催したイベントのフライヤー

――現在は何名で活動されていますか?

髙木さん:Crichのメンバーは「期」で区切っており、私たちは5期生にあたります。この5期生は全員2年生で約15名在籍し、Crichの運営を主体的に行っています。下の6期生は約40名と大幅に増え、サークルとしても規模を拡大中です。

福井さん:私たちの1期上までは参加に面接がありましたが、現在は応募制になりました。運営メンバーは、2年生から選出される早稲田と慶應の代表各1名に加え、監査、会計、渉外の計5名です。その運営メンバーのもと、X班、インスタ班など各班が活動しています。

Crichでの活動で印象的なエピソード

――Crichとして活動する中で印象に残っているプロジェクトやエピソードはありますか?

髙木さん:私は昨年3月頃にオンライン合同新歓ですね。早慶合わせて120以上のサークルの方にお越しいただいて、約15分間、各サークルが説明するというのを4日間に渡って開催しました。こんなに複数の団体と連絡を取りながらイベントを進めることがなかったので、連絡が大変でした。間違えた情報を流さないようにしたり、4日間それぞれの集客を図ったり、イベント組み立てから、関係者との日程調整をしていきました。

当日はZoomを使い、2つのリンクを各2チャンネル、合計4チャンネルで進行。司会も4名必要で、ホスト、団体連絡係、タイムキーパーなど各ルームごとに配置するため、レンタルスペースを借りて4部屋に分かれ、各部屋に3〜4名で臨みました。これまでに経験のない規模のイベントで、貴重な経験となりました。

福井さん:同じく3月の新歓期に開催したキャンパスライフ紹介イベントも印象に残っています。事前の準備から当日の司会まで担当しました。大学1年間を過ごした中で、「4月はこんなこと」「アルバイトはこれくらいの時期に」など、自身の経験と照らし合わせながらイベント内容を組み立てていきました。 こちらもオンライン開催で、Crichはコロナ禍で設立されたため、オンライン開催に強みを持っています。対面開催も検討していますが、まだノウハウが足りないので、これから蓄積していきたいと考えています。

Crichのメンバー

アルバイト経験について

――日々、お忙しくされているかと思いますがアルバイトのお話もお伺いしたいです。どんなアルバイトをされてきましたか?

福井さん:現在、3つのアルバイトをしています。平日はハンバーガー店、土日は試験監督の短期・単発アルバイト、そして長期休暇には大好きな三重県のスペイン風テーマパークでアルバイトをしています。テーマパークでのアルバイトができるよう、普段のアルバイトはシフトが柔軟なものを選んでいます。 
テーマパークではチケット販売のほか、アトラクション運営も担当でき、何より楽しいです!アトラクションは屋外なので大変ですが、好きな環境にいられるので充実しています。 アルバイトは「いかに自分の好きなもので働けるか」を重視しており、試験監督のアルバイトも受験生だった経験から、応援したい気持ちで臨めています。


髙木さん:私も試験監督のアルバイト経験があります。これまでも飲食、ライブグッズ販売、倉庫のピッキングなど、主に単発のアルバイトを多く経験しました。 
最近までは、小学生1〜3年生を対象とした学童のアルバイトをしていました。小学校から学童までの送迎、おやつ、勉強や遊びの相手をし、子どもたちが帰った後は清掃なども行います。予期せぬ事態や急に泣き出す対応は大変ですが、子どもたちがとても可愛くて癒しにもなっていました。

1年生の頃は大学に慣れるのが大変だったので、アルバイトは授業カリキュラムに合わせて柔軟に働けることと、自分に合うものを見つけるために色々な経験をすることを考慮し、単発を選びました。学童は、親戚の子どもと関わることも多く子どもとの関わりに慣れていたので、自分のスキルを活かせると思い選びました。


――アルバイト経験が役立ったなと思うことはありましたか?

髙木さん:単発のアルバイトでは、普段出会えないような幅広い世代の方々と話す機会が多く、貴重な経験でした。他大学の大学院生と研究について話したり、年上の方から「2年生なら就活はこういうことしておくといいよ」とアドバイスをいただいたり。その日限りの関係ですが、大学や世代を超えて話せるのは面白いですね。
学童では、まだ意思をうまく伝えられない子どもたちの意図を汲み取り、「今どうしたいの?」と問いかけながら話す中で、コミュニケーション能力や危機管理能力がついたと感じています。 自分から話しかけるのが苦手だったのですが、アルバイトを通して積極的にお話したり関わろうという気持ちが増えました。アルバイトで出会う年上の方々が気さくに話しかけてくださるので、私も「自分から行こう!」と思えるようになりました。このコミュニケーション能力はCrichでの活動にも活かせていると思います。

福井さん:ハンバーガー店や試験監督のアルバイトでは、多国籍・多文化の方々と出会い、関わる人の国籍が広がっていくのが面白いです。「〇〇人」と国で括りがちですが、国にとらわれずに、自分たちと同じように生活している人だと実感でき、大学で学んでいる多文化社会をどう作っていくかという社会学にもつながってきます。 私は一人っ子で周囲が年上ばかりだったので小さい子と関わる機会がほとんどなかったのですが、テーマパークでは小さなお子さんと関わる機会が多く、どう接したら意図が伝わるのかが分かり、「こうすれば伝わる」といった声かけができるようになりました。その経験はハンバーガー店での接客や、他の所属サークルでも活かされています。

アルバイトでの失敗や挫折経験

――この半年、1年間のアルバイトで失敗や挫折したことはありましたか?そこからの学びがあれば、ぜひお聞きたいです。

福井さん:ハンバーガー店が想像以上に忙しく、一度挫折を味わいました。厨房でドリンクを作り続けている中でパニックになると、次に何をすべきか分からなくなり、オーダーが溜まって提供時間も長引いてしまったのです。「自分のせいでこうなってしまった・・・」と感じ、落ち込みました。
しかし、経験を重ねるうちに慣れていきました。「この時期はこのメニューが入りやすい」「ドリンクが5オーダー入ったら時間のかかるメニューを先に作る」といった優先順位付けができるようになったことが成長したポイントです。また、社員さんからも毎回フィードバックをしてくださったのも励みとなりました。

髙木さん:単発のアルバイトの中で一番厳しかったのは、ライブ会場でのグッズ販売です。業務も慣れず上手くこなせない中、同じ現場にいた別のアルバイトの方がとにかく経験豊富で、言葉遣いやレジ対応などが上手く手際もよかったので、「こうやってやるんだ!」と参考にしながら、対応していきました。自分の未熟さを感じて、その日は抜け殻みたいになってしまいました。(笑)

――アルバイトをする前の自分にアドバイスするなら、どんなアドバイスをしますか?

髙木さん:まずは冷静になることです。冷静になって一つひとつの行動を丁寧にすればミスは減りますし、回数を重ねるうちに慣れて物の場所なども分かっていくので、初めてでも物怖じせず、まずは経験するようアドバイスします。 振り返ってみると、ファンの方が嬉しそうに帰っていく姿や、同じ世代の方、様々なバックグラウンドを持つ方々と一緒に働ける機会は本当に貴重です。そういう機会を最大限に活かし、冷静に周りを見渡して頑張って、色々なことをやってみてほしいと伝えたいです。


福井さん:環境や業務に慣れないことは、必ず新人みんなが通る道であって、最初から完璧である必要はないと思います。その環境を知り、周りの人たちからのフィードバックやアドバイスをもらいながら、その場で少しずつ改めていくことが、最終的に自信につながる一歩だと思います。周りの声をしっかり聞いて自分の改善を進めていくことです。

あとは、モチベーションも大事だと思います。その商品やサービスが自分は好きなんだと認識し、どの部分が好きでみんなに広めていきたいかを考えることで、「そのためにこのバイトをしている」というモチベーション作りが重要です。そのためには「他の人におすすめしたいと思えるものが、そのサービスにあるかどうか」を自分に問いかけることが大切だと思います。

今後取り組みたいこと

――Crichとして、個人として、今後取り組みたいことなどあればお聞かせください。

髙木さん:個人としては、今まで挑戦したことのないアルバイトやインターンなど、様々な経験をすることで視野を広げたいです。自分のやりたいことを仕事にする目標がある一方で、経験してみないと分からないことも多い。まずは「経験する」ことで、自分のやりたい分野を見極めていきたいです。

Crichとしては、より多くの方に知っていただきたいと思っています。空き教室の検索ができたりたくさん便利な機能があるのですが、まだCrichを知らない人もいるので、SNSのフォロワー数、イベントの参加者数を増やしていきたいです。そのためにLINEのリニューアルなどさまざまなアップデートを試みています。資格取得に関するイベントなど学生生活を豊かにするための場を用意しているので、Crichが新しいことを始めるきっかけになってほしいですね。

福井さん:CrichのXで発信している情報は、試験の時間割や教室、履修登録の方法など、硬い情報が多かったのですが、もっと気軽に、身近に感じてもらえるような情報発信をして、みんなにキャンパスライフをリッチにする気づきを増やしたいです。

例えば、「新しくケンタッキーがオープンしたよ」といった、大学の情報ではないけど身近な新しい気づきを発信したいです。その中で、自分でも色々な生活のところに目を向け、アンテナを伸ばすのが今後の目標だと思っています。 


 

Crichの活動は、単なる学生生活のお役立ち情報の発信に留まらず、大学生活を豊かにするためのきっかけを多数提供していることが伝わってきました。
また、髙木さんと福井さんのアルバイト経験からは、「好きを原動力に挑戦すること」、「そして失敗を恐れずに経験を重ねること」の大切さが強く感じられます。これらの学びは、Crichが目指す「キャンパスライフをリッチに」という理念と深く結びつき、学生が新たな一歩を踏み出すための具体的なヒントとなるでしょう。

Crichの今後の活動にもぜひ注目してください!

 

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