- 2025/11/20

あなたにとっての “最高の報酬” は?-時給以上の価値をみつける教育バイト体験談vol.2-

「教育バイトで得られるものとは?」――アルバイトを選ぶ際、報酬の額はもちろん重要です。しかし、家庭教師や塾講師といった教育バイトを経験した学生たちの多くは、金銭的な対価を超えた、かけがえのない“最高の報酬”を受け取っています。
本記事は、t-news編集部が教育バイトで活躍する先輩たちにインタビューし、その体験談から「これから教育バイトを始める人にとってのヒント」を探るシリーズ第2弾。
今回インタビューしたのは、慶應義塾大学 商学部 4年の柿下陶子(かきした とうこ)さん。タイプの異なる2つの教育バイトを経験した柿下さんのリアルな体験談をお聞きしました。
- 教育バイトを探している人
・個別指導塾に興味があるが漠然と不安がある - ・学習メンターと塾講師バイトの違いが気になる
- ・教えるときに気を付けるポイントが知りたい など
- 現在教育バイト中の人
- ・ほかの先生たちはどう対処しているのか気になる
- ・自分の指導方法に迷いがある/良い方法を模索している など
個別指導塾・高校での自習サポート 異なる職種の経験
将来は、大学院でデータサイエンスの研究を志す柿下さん。GIS(地理情報システム)などの理系分野を学びつつ、インカレの学生団体でダンスイベントの企画運営に携わり、自身もヒップホップダンスで出演する機会もあるとのこと。

柿下陶子さん
そんな柿下さんのアルバイト経験は豊富で、飲食・販売店での接客を経験。教育バイトを掛け持ちで始めたのは「頭を使うこと」「考えること」が好きで、自分に向いていると感じたからです。
柿下さんは、個別指導塾での講師と、高校生の放課後学習をサポートする「学習メンター」、両方の指導を通して見えてきた現場の役割の違いについて語ります。
柿下さん:「塾では『成績を伸ばす』という明確な目標がありますが、学習メンターでは担当校の特徴からも、まず勉強に『興味を持ってもらう』ことから始まりました。生徒の置かれる状況が、塾と学校では全く違うので、関わり方が変わります。」
それぞれの体験を振り返って、違いや気づきなどをお聞きしました。
分からないところはなにか?を洗い出すことが求められた「学習メンター」
大学2年生の約半年間、柿下さんは週1回学校へ訪問し、主に高校1年生の自習サポートに当たっていました。
担当学校での活動は主に二つ。ひとつは、学校が設けた自習時間中に、担当クラスを巡回しながら生徒の自習サポートを行うこと。もうひとつは、学校に開設された自習室で、訪れた生徒に対して、個別に質問に答えることでした。英語や数学といった教科を教えることもあれば、自習室では小論文の添削を行うこともあったそうで、教える範囲は幅広いです。メンターとして最初に苦労したのは「生徒が分からないことがなにかを洗い出すこと」だったと語ります。担当校は進路多様校だったため、受験勉強中心の塾講師と比べると生徒の学習への向き合い方が異なっていたと振り返ります。
柿下さん:「メンターでは、生徒から積極的に質問されることが少なく、質問に答えることよりも生徒の分からないことを洗い出してあげることが大変でした。クラスを巡回している中、手が止まっている生徒をいると、『どこまでが分からないのか』『分からなくて手が止まっているのか』『ただやっていないだけなのか』、その様子から状況が読めないことが多く、接し方にも工夫が必要でした。」

そうした状況で、柿下さんが心がけていたのは「達成度を見る」ということでした。
柿下さん:「ひとつの問題を取り上げ、生徒に投げかけることで、その生徒がどこまで理解できているのか確認するよう工夫していました。
ほかにも、できたところをまず認めるということも心がけていました。『ここまでしかできていない』ではなく、『ここができているね!』と、できている部分にスポットを当てて伝えることで、生徒が心を開きやすくなる雰囲気づくりをしました。」
生徒のためにネガティブな言い方をしない柿下さんなりの配慮が伺えます。そうした工夫にたどり着いた理由を尋ねると、柿下さんは自身の学習体験を振り返ります。
柿下さん:「高校生のころに通っていた集団塾での体験が影響しています。たとえば、先生に記述問題の添削を依頼した際に、『ここがいいね』『これを付け加えよう』とできていることを伸ばすための添削をしてもらったのです。そうした経験も、学習メンターとして生徒と向き合う際に活かされていると思います。」
放課後の学校で働く新しい教育バイト「学習メンター」
求人例
生徒: 中学生・高校生
時給:1,530円+交通費全額支給
曜日: 週1回~
業務内容: 自習の運営・自習サポートなど
入念な事前準備と学習計画で臨む「塾講師」
学習メンターでの勤務を経て、約2年、個別指導塾の講師として小学生から高校生の受験指導など幅広く担当している柿下さん。塾講師で最初に苦労したのは、生徒ごとの学習ペース、テンポの違いへの対応だと言います。
柿下さん:「問いかけたことに対して、すぐにレスポンスが返ってきて授業がサクサク進む生徒もいれば、なかなか返ってこない生徒もいます。反応のない生徒のペースに合わせすぎると、事前に立てた授業計画が進まないし、かといってこちらが全部説明してしまうと考える力が育たない。このバランスをどう取るか、苦労しました。細かい質問を投げかけることを意識しています。」

柿下さんが勤務する個別指導塾では、生徒ごとに個別の学習計画を作成します。作成には柿下さんも関わり、社員さんのサポートも得ながら、学習状況を踏まえて計画を立てていきます。
現場での臨機応変な対応をする学習メンターとは異なり、塾講師ではあらかじめ立てた授業計画の遂行が求められます。柿下さんはこの授業計画に沿ってスムーズに進められるよう、授業外での事前準備を欠かしません。
柿下さん:「担当生徒の苦手分野や目標を踏まえ、授業の前日には事前にテキストの解説を読み、『ここは生徒から聞かれるだろう』というところを事前チェックしたり、進捗を見ながら追加で出す問題の用意をしておきます。」
学習計画があるからこそ、事前の準備を行えるのは塾講師ならではのようです。
人それぞれの「勉強への向き合い方」への理解
これから教育バイトを始める人に向けて、柿下さんの体験から得た学びを聞きました。
それは「自分とは違う学習の向き合い方をする人」への理解だと振り返ります。
柿下さん:「教育バイトに携わる人たちは、勉強にしっかり向き合ってきた人が多いと思います。しかし、生徒は必ずしもそうではないと、学習メンターを始めて気付かされました。
私自身、受験期には『解く前に深呼吸しようね』と注意されるほど、目の前の問題にがっついていたタイプです。そのため、メンターを始めたばかりの頃は、なかなか手が進まない生徒を見て、『目の前に問題があるのになぜ解かないのだろう?』と不思議に思うこともありました。でも、『人それぞれなんだな』と、自分とは異なる勉強へのスタンスを持つ人がいるということを理解しました。
『なんでこうじゃないの?』と自分の基準で判断するのではなく、『そういう勉強の向き合い方もある』と受け入れることが大事だと思います。」
生徒の変化、もちろん金銭としての報酬も “最高の報酬”
柿下さんにとって、教育バイトでの「最高の報酬」とは何でしょうか。
柿下さん:「生徒の成績が上がったことや、もともと嫌いだった科目の授業を、少しでも楽しそうにしてくれるようになったり、生徒自身が自分の言葉で説明できるようになったりといった生徒の変化は、講師としての大きなモチベーションです。ですが、もちろん金銭面も大事!特に夏季講習など集中講座はふだんよりもたくさん働けるので、その時にもらえる報酬は嬉しいものです!(笑)
趣味のダンスイベントでの出演費や衣装代、舞台鑑賞などの活動資金になっていて、活動を続けるための大きな支えになっています。これもまた、初めて教育バイトをする人にとって大事なことではないでしょうか。」
柿下さんの体験談から、単に質問に答える指導に留まらず、生徒一人ひとりの学習背景を理解し、最適な関わり方を探っていく大切さが伝わりました。これから教育バイトで一歩を踏み出す方や、日々の指導に悩む方にとって参考になるのではないでしょうか。次回の教育バイトの体験談もどうぞお楽しみに!
(聞き手・文:t-news編集部)
※掲載内容は取材時(2025年10月時点)のものです
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