• 2025/11/20

あなたにとっての “最高の報酬” は?-時給以上の価値をみつける教育バイト体験談vol.3-

「教育バイトで得られるものとは?」――アルバイトを選ぶ際、報酬の額はもちろん重要です。しかし、家庭教師や塾講師といった教育バイトを経験した学生たちの多くは、金銭的な対価を超えた、かけがえのない“最高の報酬”を受け取っています。

本記事は、t-news編集部が教育バイトで活躍する先輩たちにインタビューし、その体験談から「これから教育バイトを始める人にとってのヒント」を探るシリーズ第3弾。

今回インタビューしたのは、早稲田大学 教育部 3年 佐藤良太(さとう りょうた)さん。タイプの異なる2つの教育バイトを経験した佐藤さんのリアルな体験談をお聞きしました。

本記事はこんな人におすすめ!
  • 教育バイトを探している人
    ・自分の得意分野や専攻を活かしたい人
  • ・家庭教師と塾講師、どちらのスタイルが合うか比較したい人
  • ・経験者のリアルな声を知りたい人 など

  • 現在教育バイト中の人
  • ・ほかの先生の指導実践例を知りたい人
  • ・具体的なコミュニケーションの工夫を知りたい人 など

専門性を活かし、教育バイト一筋

 大学では言語学(特に英文法や英語史などの英語学)を専攻している佐藤さん。もともと英文法が好きだったことがきっかけで、大学でも英語を専攻し、将来は英語を活かしたグローバルな仕事に就きたいとのこと。長期休暇には海外旅行に出かけるなど、海外文化への興味もお持ちです。そのほか、ボランティアサークルにも所属。地域の子どもたちと公園で遊んだり、夏には子どもをキャンプに連れて出かけるようです。世代や国籍を超えて、人と関わることにも積極的な様子が伺えます。

佐藤良太さん

アルバイト経験は、飲食業などは選ばず、教育バイト一筋で活動してきました。その動機をこう語ります。

佐藤さん:「一番の理由は、自分の専門性(英語)を生かして働くことに興味があったからです。また、教育系の場合は真面目な方が多いので、自分に合っていそうだと感じていました。もちろん、時給が高いことも魅力です。大学生活で時間がない中でも効率よく稼げることも大きな理由になっています」

専門性を活かせることが動機になった背景について、佐藤さん自身の受験期の経験が深く関わっていました。

佐藤さん:「早稲田大学を目指していた受験生時代、地元の塾に加えて、早稲田専門のオンライン塾も利用していました。その際、『英語講師といえばこの人』と言われるような有名な先生にお願いしました。『どうせ教わるなら、専門性のある人に』と考えていたのです。こうした体験から、自分自身も専門性を活かすということに意識が向いたのだと思います」


長期休暇は海外旅行に出かけるという佐藤さん

そんな佐藤さんが経験した教育バイトは、集団塾での講師と家庭教師(中高一貫に通う中学生、社会人の英語指導)です。

指導科目はもちろん自身の専門である「英語」。家庭教師では中学生向けには内部進学を見据えた試験対策や英検の指導を行います。また、社会人の指導では英文法やアカデミックライティングなどビジネスで英語を使うための指導を行っています。

集団塾と家庭教師、異なる指導スタイルで意識すること

佐藤さんは、大学1年のころに大手集団塾で10名〜20名で構成されたクラスを担当していました。その後、現在に至るまで家庭教師として勤務。二つの異なる指導形態を経験したことで、それぞれの特徴と、自分に合う働き方を見つけました。

佐藤さん:「自分が勤務していた集団塾の場合は、社員さんがカリキュラムや指導内容を決めており、その内容に沿って進めるスタイルでした。その点、家庭教師は、教材や教え方、日程の調整まで自分で調整しています。人によってはそれが難しいと感じる場合もありますが、自分にとっては自由に決められることが楽しく、合っていると感じました。家庭教師では、市販の教材以外にも、生徒の状況に応じて授業用のプリントを自作するなど、柔軟な指導を行っています」


実際に佐藤さんが作成したプリント(英作文問題と新出文法の解説) 

異なる指導スタイルを経験し、それぞれどのようなことを意識して指導に当たっていたのでしょうか。

佐藤さん:集団塾の場合は、特にクラス全体の雰囲気づくりは大切にしていました。あえて上位者がやっていることを生徒に伝えモチベーションアップを試みたり、授業の合間に雑談を取り入れたり、時にはボケてみたりなど、場を和ませることも行いました。クラス全体が良い雰囲気になることで、勉強しやすい環境になるよう努めていました」

全体の雰囲気づくりは集団指導ならではのアプローチです。一方、個別指導の家庭教師についてはこう振り返ります。

佐藤さん:「生徒さんと保護者の方それぞれとしっかりコミュニケーション取るっていうのは意識しています。指導相手は1人なので、その生徒にいま何が必要なのか、自分の中でしっかり分析して、それに指導計画を提案していきました。必ずあの授業後には保護の方にその日の指導内容を伝えたり、場合によってはメールを送ったり、毎回のコミュニケーションは欠かしません」

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「分かる」と「できる」は違う!発問による弱点把握

生徒を指導する際に、佐藤さんはどんなことを心がけているのでしょうか。
それは、一方的な解説にならないよう「発問」(生徒への意図的な問いかけ)を徹底することだと語ります。

佐藤さん:「教えているだけでは、生徒が本当に分かっているかどうかが分かりません。そこで家庭教師では、生徒に『なんでこうだと思う?』などと問いかけをするようにしています。また、塾の場合も同様に、クラスであることを生かして、隣の席同士でペアを組んでもらい、回答理由や根拠を説明し合ったり、どこが分からないのかあえて言語化する時間を作るようにしていました。特に選択問題の場合は、なぜそれを選んだのかを問うことになり効果的です」 

佐藤さん:「生徒は『分からない』となるとそこで止まってしまうので、どこが分からないのか言語化できるようになることは、自分の弱点に気づき、伸ばしていくチャンスになると思います。

また、『分かる』と『できる』は違うと考えています。分かった気になっていても、実際に問題を解いたり、説明ができない場合もあるんです。発問していくことにより、どこにつまづきがあるのかを気付いてもらうきっかけになってほしいと思います」

こうした「発問」する工夫は、佐藤さんの中学時代に通っていた塾の先生の影響があったといいます。実際に発問を通して効果を感じ、そのときの指導法を取り入れたそうです。
生徒に言語化を促し、自分の分からない箇所を正確に把握させるという方法は、これから初めて指導する人も、現在担当生徒をもつ人にも参考にできそうです。

「自分の知識を出したい」という “自己満” を抑える

指導で直面した大きな壁は、「細かく(専門的に)教えること」と「生徒が本当に必要としていること」とのバランスでした。

佐藤さん:「英語が得意な子には細かく説明しても楽しく聞いてくれますが、苦手な子にとっては『もっと簡単に教えて』となってしまいます。そんな苦手な子たちにどう教えべきか、難しさを感じていました」

自分の知識を伝えることが、必ずしも生徒のためになるとは限らないという洞察に至ります。そして、自分の知識を出す『自己満足』を抑える必要があると続けます。

佐藤さん:「自分の持っている知識を伝えていくことは、教える側は気持ちよくなりますが、生徒にとってそこまでの知識は必要がない場合もあります。特に、まだ英語の基礎が定着していない生徒に対しては、無理に細かな情報を伝えたり、次の単元に進もうとしたりせず、生徒のペースに合わせています。
もちろん、専門的なことまで話せると、先生として信頼してもらえる側面もありますが、そのバランスには気を遣うようにしています。教育バイトをする人たちは勉強が得意な人が多いと思いますが、生徒たちは必ずしもそうではありません。だからこそ、自分の知識を出す『自己満』にならないよう注意しています」

こうした寄り添い方や指導の工夫が功を奏し、指導当初は平均点も取れなかった担当の中学3年生が、1年半の指導を経て、80点以上を取れるようになり、大きな成果につながりました。

これから教育バイトを始める人へ

これから教育バイトを始める学生へのアドバイスや注意点をいただきました。

佐藤さん:「家庭教師では時給の高い『個人契約』をする方法もありますが、最初は『東大家庭教師友の会』のような会社を通して経験を積むのがおすすめです。『東大家庭教師友の会』では、生徒を担当すると月次報告を作成するのが特徴ですが、保護者の方や生徒と目標に向けて目線合わせする機会にもなります。初めての方にとっては、会社側のサポートがあるのは安心かと思います。一方で、家庭教師の場合はご家庭都合による『ドタキャン』に注意が必要です。あらかじめスケジュールを確保していても当日キャンセルになる場合がたまにあります。その場合、時給が発生せず、別日に振り替えることになります。その点、塾講師の場合はキャンセルがないので安定しているのは良いです」

相手の人生に前向きな影響を与えられることが “最高の報酬”

佐藤さんにとって、指導経験を通して得られた“最高の報酬”とは何だったのでしょうか。

佐藤さん:「相手の人生に前向きな影響を与えられることです。受験や勉強面というのは、人生の中で大きなイベントです。そこに携わり、生徒の目標に向かって、前向きな影響を与えることの意義や、やりがいを感じられるのは、本当に楽しいです」

「教えることが好き」という純粋な気持ちと、自分の持つ専門性——この両方を活かしながらも、決して自己満足にならずに「生徒にとって本当に必要なこと」を考えて指導している佐藤さん。これから教育バイトで一歩を踏み出す方や、日々の指導に悩む方にとって参考になるのではないでしょうか。次回の教育バイトの体験談もどうぞお楽しみに!

(聞き手・文:t-news編集部)
※掲載内容は取材時(2025年10月時点)のものです

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